台風18号による東海道本線寸断 JR貨物は物流の危機にどう対応したか
台風18号の影響により土砂が流入し、10月6日に不通となっていた東海道本線の由比~興津間が16日早朝、復旧した。この区間はJR東海による旅客輸送ではローカルの普通列車の運行が中心であり、特急「ワイドビューふじかわ」「サンライズ瀬戸・出雲」の運休程度の影響しかなく、東海道新幹線やバスを使った代行輸送でしのいだ。だが、この区間は東西を結ぶ貨物列車の大動脈に位置し、一日に約90本の貨物列車が運行されている。全国の貨物列車が一日に490本であることからすると、約18%の貨物列車に影響を与えたことになる。その中で、JR貨物は「物流の危機」にどう対応したか。
10日間続いたダメージ
まず、JR貨物は普段は貨車にコンテナを載せて走らせているのを、トラックに載せて代行輸送するという方針にした。代行区間は東京貨物ターミナル駅~静岡貨物駅、西浜松駅だった。西浜松駅からは貨物列車を接続させ、広島・九州を結ぶようにした。 コンテナのトラック代行輸送だけではとても足りず、東海道経由の貨物列車を迂回運転させることにした。東京貨物ターミナル駅から上越線や日本海縦貫線を経由して福岡貨物ターミナル駅へ向かう列車や、名古屋貨物ターミナル駅から日本海縦貫線を経由して札幌に向かう列車、東京貨物ターミナル駅から中央東線・中央西線を経由して大阪貨物ターミナル駅へ向かう列車も設定した。 その他にも、金沢方面に向かう定期貨物列車を接続させたり、区間運転の貨物列車とトラック代行輸送を接続させたりした。それにより、最大で一日あたり1,990個の輸送力を確保した。 由比~興津間の不通についてJR貨物は「ダメージは大きい、10日間続いたので相当なものだ」と述べている。荷主には、「不通についてはおわびし、トラック迂回輸送などで物流網を確保した」という対応をしている。また、「顧客である荷主自身がJR貨物以外のトラック輸送を使ったケースもある」とも言う。今回の不通区間の発生では「対処しきれない部分も正直あり、普段の輸送力の18%だったから荷主には不便をおかけした」としている。それだけ、東海道本線は物流の要衝となっているのだ。