アイ・テックがコラム・形鋼の流通コスト5000円転嫁徹底
建築需要の停滞により条鋼建材製品の上げ足が鈍る中、鋼材流通大手のアイ・テック(本社・静岡市、社長・大畑大輔氏)は14日、ロールコラムと形鋼類で流通コスト上昇分に当たるトン5千円の価格転嫁を徹底する方針を改めて表明した。大畑社長は「『2024年問題』への対応を含めた物流費や労務費の上昇は自社で吸収できる水準を超え、今後も収まる見込みはない」と強調。「薄利多売は成り立たず、消耗戦を続ける余裕はない。流通特約店の存在意義が問われている」と現状を危惧し、流通段階でのコスト転嫁の必要性を訴える。 同社はメーカー値上げ(トン当たり1万円)と労務・物流費といった流通コスト上昇(同5千円)を念頭に、ロールコラムは3月引き受け分から1万5千円の値上げを発表。H形鋼や一般形鋼でもメーカー値上げ分とは別に、膨らんだ流通コスト5千円を価格に反映する販売政策を打ち出した。 4月以降に市場価格は段階的に上がってきたが、東京地区の上げ幅はトン4千円程度にとどまる。大畑社長は「高炉・電炉は流通コスト要因の値上げを完遂してきたが、川下にいる流通業者は達成できず収益悪化に直結している」と問題点を指摘。「諸コストを売り上げから吸収できない悪循環から脱却し、健全な業界づくりをけん引するため価格転嫁を徹底したい」と語気を強める。サプライチェーン(供給網)の安定化を図るため、自社だけでなく顧客も売り先に価格転嫁できる好循環の形成にも注意を払う。 「超党派で提携」示唆 アイ・テックは「需要と供給のバランス」だけでは語れなくなった社会の変化に対し、「協働」をテーマに製・販・需が共に成長できる市場の形成に向けて理解を求めていく。大畑社長は「自社だけでなく意思を同じくする企業による超党派の取り組みが欠かせない」と語り、在庫や輸送などで同業などと提携する可能性を示唆した。