遺族年金が「5年」で打ち切りに!? 50代会社員の夫の死後、妻の平均寿命までに“必要な金額”はいくら? 不足額をシミュレーション
残された妻に不足する額はいくら?
シミュレーションの前提は次のとおりです。 ●勤続期間中の平均年収が500万円だった会社員の夫が勤続30年で死亡 ●夫の死亡時、妻は50歳になったばかりの専業主婦、過去に就労期間なし ●20代の子どもが1人いるが独立済み ●平均的な貯蓄がある ●夫の死亡により、妻は平均的な額の生命保険金を受け取れる ●夫の借入金は住宅ローンだけであり、団体信用生命保険から全額返済される ●妻は65歳から老齢基礎年金を満額受け取れる ●インフレやデフレは考慮しない 【妻が亡くなるまでの支出の総額】 ●妻の余命は38年と仮定(50歳女性の平均余命は38.23年) ●消費支出(いわゆる生活費)は、64歳までの15年間は月17万円(単身世帯[平均年齢58.2歳]の平均)、65歳からの23年間は月15万円(65歳以上の単身無職世帯の平均)と仮定 ●非消費支出(直接税、社会保険料)は全期間月1万円(65歳以上の単身無職世帯の平均)と仮定 これらの仮定で妻が亡くなるまでにかかる支出の総額を概算すると、次のようになります。 (17万円+1万円)×12月×15年+(15万円+1万円)×12月×23年=7656万円 高齢期の施設入居費用や介護費用、死後の葬儀費用などの支出は含めていない点に留意が必要です。 【現在の貯蓄額+妻が亡くなるまでの収入の総額】 ●現在の貯蓄額を750万円と仮定(金融資産がある50代世帯主の中央値) ●夫の死亡退職金を2050万円と仮定(大学卒、勤続30年、52歳のモデル退職金額) ●夫の死亡による生命保険金を1600万円と仮定(50代男性の生命保険加入金額の平均) ●夫の死亡による遺族厚生年金を約62万円×5年間=約300万円と仮定(遺族厚生年金を年収500万円×5.481÷1000×30年×3÷4の約62万円として)※ ●妻の老齢基礎年金を年81万6000円×23年間=約1900万円と仮定(2024年度の満額は81万6000円) 以上を合計すると、現在の貯蓄額+妻が亡くなるまでの収入の総額は6600万円になります。 ※現行の遺族厚生年金であれば、終身給付のため約62万円×38年間=約2350万円です。改正によって5年給付になると約300万円となり、約2050万円の収入減です。 【不足する額は?】 今回の前提、仮定の場合、支出総額7656万円から、貯蓄+収入総額の6600万円を引くと、約1050万円不足する結果になりました。あくまでも統計値を基にした試算であるため、実際には世帯の現状に合わせて計算する必要があります。