新一万円札・渋沢栄一の生地 埼玉・深谷市「中の家」 本人そっくりアンドロイドシアター 埼玉「館」巡り
「日本資本主義の父」と呼ばれる埼玉県深谷市出身の実業家、渋沢栄一(1840~1931年)。新一万円札の肖像になり、新札が発行された7月、ゆかりの地である本県で〝渋沢フィーバー〟が巻き起こったのは記憶に新しい。 【写真】「中の家」の外観 その生地である旧渋沢邸「中の家(なかんち)」(同市血洗島)を訪ねた。主屋は渋沢が23歳まで過ごし、建て替え後に火災で焼失。明治28年に妹夫婦により上棟されたのが現在の主屋とされる。 同姓の家が何軒もあるエリアの真ん中に立地することから「中の家」と呼ばれるようになったらしい。 内部を見学させてもらった。見どころの一つは10畳の上座敷。渋沢は晩年、幼少期に親しんだ「血洗島獅子舞」の鑑賞を楽しみに、獅子舞が奉納される諏訪神社の祭礼に合わせ何度も帰郷した。その際決まって「中の家」に滞在し、この上座敷で過ごしたという。 ■渋沢栄一アンドロイドも 「東京・飛鳥山の渋沢の私邸は空襲で焼失。中の家は現存する、渋沢が立ち寄った数少ない場所です」。同市の渋沢栄一記念館の飯島峻輔さんがそう解説してくれた。 また、アンドロイドシアターにも注目だ。和服姿でくつろぐ80代の渋沢の風貌を忠実に再現したアンドロイドが身振り手振りを交え、自身が親しんだ論語のことや仲間たちとの思い出を語る。渋沢の原点ともいえる生地でその世界観を堪能できるイマーシブ(没入型)シアターとなっている。 同様の渋沢アンドロイドがもう一つ、徒歩約10分離れた同記念館にあり、渋沢の講義を聴講できるのは見過ごせない。 新札発行以降の知名度上昇もあって、観光バスで来ては両方見学して帰る観光客らの姿が引きも切らないそうだ。(柳原一哉) ◇ 「中の家」 渋沢栄一の生誕地に、妹夫婦が明治28年上棟した旧渋沢邸宅。2階建て延べ床面積約521平方メートル。主屋内部、アンドロイドシアターなどを見学できる。リニューアルオープンした昨年8月~今年10月の来場者数は10万人を超えた。 ◇