「上司が休まないと休みにくい」会社の共通点2つ 有給休暇「取らない」ではなく「取れない」の背景
そうした状況判断に対して、多くの上司が「責任感の現れ」と前向きに受け取っているため、「休める状況でも休めない」という状況を生み出しています。 上司が休まないと休みにくい企業には、次のような2つの特徴があります。 特徴① 「リモートワーク」の比率が高い企業 意外に感じるかもしれませんが、リモートワークが中心で、上司やチームリーダーと顔を合わせる機会が少ない企業ほど、休みを取りづらい傾向があります。 ベンチャーのIT企業などが代表的ですが、上司と部下のコミュニケーション頻度が極端に減っているため、腹を割って話ができない状況になっています。
「来週、子供の運動会があるので休みたい……」というようなことが、なかなか言い出せず、休みを見送る人が多いのです。 特徴② 長期政権で組織が硬直化している企業 社長や会長の在籍期間が長い企業は、現場の実行力は高いですが、心理的安全性に欠ける傾向があります。努力と根性が優先され、「休む=怠ける」という認識が残っています。 こうした状況では、トップや上司が休まない限り、自分から「休む」とは言い出しづらい雰囲気があります。
日本のビジネスパーソンが、上司やトップの顔色を気にして「休みたくても、休まない」という選択をする背景には、企業の中に「1980~1990年代の成功体験」が「レガシー」(遺産、伝統)として根強く残っていることも関係しています。 1980~1990年代は、日本企業が世界で最も強かった時代です。 その頃は、経営陣の指示通りに仕事をすれば、利益が上がる時代でしたから、働く時間と人を増やして売り上げを伸ばす……という「労働集約型」のビジネスモデルが主流となり、日本人は誰もが「たくさん働く=たくさん儲かる」と考えていました。
労働集約型とは、人間の労働力への依存度が高く、お金や機械、設備よりも、人間の手による仕事量が多いビジネスを指します。 ビジネスの主要部分を労働力が占めているため、売り上げに対する人件費の比率が高く、売り上げを増やすためには、そのぶんだけ労働力が必要になるのです。 「たくさん働く=たくさん儲かる」という考え方は、逆の視点から見れば、「働く時間を減らす=売り上げが下がる」という価値基準を生み出すことになり、「休む→会社の成長に寄与しない」→「サボっている」という発想に結びつきます。