中国の対外投資、4-6月に過去最高-アジアや新興国へ投資先シフト
(ブルームバーグ): 中国の対外投資は4-6月(第2四半期)に過去最高となった。中国企業が海外で工場の増設を検討する中、中国政府の輸出政策に対する批判が和らぐ可能性がある。
国家外為管理局(SAFE)が9月30日発表した改定値によると、中国の対外投資は4-6月に約710億ドル(約10兆2500億円)と、集計を開始した1998年以降で最高水準となった。前年同期比では80%余り増加した。
対外投資の先頭に立つのは、電気自動車や太陽光発電など、中国が競合他社を凌駕(りょうが)する分野の企業だ。こうした対外投資は、販売先の国の生産者に打撃を与え得る輸出で海外市場を圧倒するのではなく、海外で雇用を創出し、経済成長を促すことで、貿易摩擦の緩和に寄与する可能性がある。
だが、一部のエコノミストはこの流れを疑問視している。ロジウム・グループがまとめた新たなデータベースでは、実際の海外投資はここ数年、大幅に減少していることが示されている。ティロ・ハネマン氏率いるロジウムのアナリストらは、SAFEのデータは、実体経済への投資ではなく、財務上の理由による「見せかけ」の資本によって水増しされている可能性があるとの見方を示している。
同アナリストらはリポートで、「公式発表された対外投資の3分の2余りは、内部留保や負債、企業間移転によるものだ」と指摘した。
それでも、ロジウムによると、中国の海外投資は近年、増加傾向にあるようだ。データによると、投資総額は、2016年のピークを大幅に下回っているものの、22年以降はかなりの回復を示している。
中国の投資プロジェクトに関するロジウムの新たなデータベースによると、中国の対外直接投資は先進国からアジアや新興国へとシフトしている。ベトナムやマレーシア、インドネシア、シンガポールでは、昨年と2024年に少なくとも10億ドル規模の投資が見込まれており、中国企業は自動車や不動産、金属・鉱物資産に投資している。