夫の死後「32万円」の年金が振り込まれました。返さないと「不正受給」になりますか? 私が受け取っても問題ないのでしょうか…?
年金受給者が亡くなると年金の受給権もそれに伴って停止しますが、役所に死亡届を提出したら自動的に年金の受給が停止するわけではありません。この場合、受給者が亡くなったことを年金事務所や年金相談センターに申請することで手続きが完了します。 多くの場合、年金受給者が亡くなってすぐは、葬儀の準備や寺院とのやりとりに追われ、年金の手続きをおこなうのは「落ち着いてからにしよう」と、いったん後回しにすることもあるでしょう。この申請するまでの期間に故人の年金が振り込まれた場合、この年金は受け取ってもいいのでしょうか。 本記事では配偶者が亡くなった後の年金の取り扱いについて解説します。 ▼亡くなった母が私名義で「500万円」を遺してくれていた! 名義は自分でも「相続税」はかかる?
配偶者の死後に年金が振り込まれるケース
年金の支給は月単位で計算され、「後払い」で振り込まれます。年金の支給日は原則として偶数月の15日となっているので、6月と7月の年金が8月15日に振り込まれるという流れです。つまり仮に8月14日に年金受給者が亡くなった場合、8月15日に振り込まれる年金は年金受給者が生きていた6月と7月の分として振り込まれているのです。
未支給年金とは
年金受給者が亡くなったあとに、まだ振り込まれていない年金を「未支給年金」といいます。この未支給年金はもともと受給者が受け取る権利のあった年金なので、遺族が代わりに受け取ることが可能です。ただし遺族なら誰でも受け取ることができるのではなく、生計を共にしていた人がその対象です。
死後振り込まれた年金のうち返還の必要があるものとないもの
前記でも触れましたが、年金の支給金額は月単位で計算されます。未支給年金に関しても月単位となっているので、受給者が亡くなった月までが年金の対象となります。亡くなった日にちが8月1日でも8月31日でも、8月分として1ヶ月分の支給額は変わらず、日割りもされません。 今回のケースのように死後に32万円の年金が振り込まれた場合についてみていきましょう。年金は2ヶ月分が振り込まれるので、1ヶ月当たりの支給額は16万円となります。この年金受給者が8月14日に亡くなったとしましょう。 亡くなった翌日である8月15日に振り込まれるのは6月分と7月分の年金なので受け取って問題ありません。次の年金支給日は10月15日で、ここでは8月分と9月分の年金が振り込まれます。 8月は年金受給者がまだ生存していた分として計算されますが、9月は亡くなった翌月分なので年金を受け取る権利がありません。つまり、8月分は受け取れますが、9月分の年金16万円は返還しなければならないのです。