JP日本郵政G涙の4年ぶり王座奪還!復活の廣中璃梨佳、鈴木亜由子が魂の激走/クイーンズ駅伝
◇第44回全日本実業団対抗女子駅伝(クイーンズ駅伝:11月24日/宮城・松島町文化観光交流館前~弘進ゴムアスリートパーク仙台、6区間42.195km) クイーンズ駅伝の総合順位、区間賞をチェック! クイーンズ駅伝が行われ、JP日本郵政グループが2時間13分54秒で4年ぶり4回目の優勝を飾った。 フィニッシュ地点に涙があふれた。アンカーの太田琴菜が5km過ぎに積水化学の森智香子を突き放し、トップで競技場に戻ってくる。「すごく苦しかった」。29歳。度重なるケガで一度は引退もよぎった太田が歓喜のフィニッシュテープを切った。 4年ぶりの頂点。髙橋昌彦監督は「今年は我々なりに良い準備ができましたが、優勝するには力が足りないかなと思っていた」。それだけ連覇を狙う積水化学の充実度が光っていた。 だが、それを凌駕するタスキリレーを見せた。JP日本郵政グループは1区・菅田雅香がトップと5秒差の3位で流れを作ると、2区の牛佳慧も大きな走りで2位に浮上する。 そして、この日誕生日を迎えた廣中璃梨佳が激走する。「前の2人が作ってくれた良い流れを、さらに自分が変える」。積水化学との17秒差を3kmで追いついた。右膝のケガもあり、パリ五輪への道が閉ざされたエースによる見事な復活劇。「結果的に耐えるレースになった」と後ろからきた資生堂・五島莉乃には離されたものの、最後も粘りきり3秒差の2位でとどめて中継した。 その廣中にあこがれて鹿児島の神村学園高から加入したチーム初外国人ランナーのカリバ・カロラインがすぐさま先頭に立つと、2位に23秒のリードを奪ってタスキをつないだ。 ここから駅伝史に残る名勝負が待っていた。鈴木亜由子に対し、積水化学・新谷仁美が襲いかかる。4km付近で追いつかれたが、そこから最後まで長い長いデッドヒートとなる。 最後は抜きつ、抜かれつの激闘だったが、残り200mで魂のスパートをかけた鈴木が1秒差で制した。 「亜由子さんがすごい勢いで来てくれて、『いけー!』と言われました」と思いのこもったタスキを受けた太田も、序盤は積水化学の森に離されかけたが、最後は振り切った。 髙橋監督は「1区からいい競り合いをしながら、太田が決めてくれて最高の優勝です」とメンバーを称える。優勝から遠ざかった4年間。おのおのがケガなど苦しい時期を過ごし、それを乗り越えてきたことを証明する、熱い涙の4度目優勝だった。
月陸編集部