メジャーFA市場で「菊池雄星」の注目度が急上昇 “覚醒”に導いた「ダルビッシュの相棒」の存在
今永を活躍させた要素
一方の今永。シーズンを通して好成績を残したが、5月のブルワーズ戦で5回途中7失点と“炎上”してしまった試合もいくつかある。 「ベテランのヤン・ゴームズ(37)は、ゲームコーリングの巧さに長けた捕手です。ゴームズはジャスティン・スティール(29)を先発投手として開花させたんですが、ウィニングショットの得意球がイマイチな日でも、他の変化球を使ったり、直球のキレで勝てたりすることを教えました。今永の場合、炎上した日はたくさんの球種を使いすぎています」(前出・米国人ライター) 米国には「Leave well enough alone(巧く行っているときはかき回すな)」ということわざがある。前出の米国人ライターによれば、今永は地元メディアに好調のヒケツを聞かれ、トレバー・バウアーの投球を参考にしていると答えたこともあるそうだ。23年シーズン、バウアーはDeNAベイスターズに在籍し、その間、多くの日本人投手から調整方法や投球理論を質問された。チームメイトだった今永も、日米の野球スタイルの違いを尋ねている。 「メジャー時代のバウアーは、高めの直球も一つの武器にしていました。米球界では一時期のフライボール革命で、アッパースイングが主流になりました。ボールを掬い上げようとするので、威力のある高めのボールが効果的だったんです。日本では高めへの配球はNGで、低めの変化球を大切にします。渡米後の今永は意識して高めのボールで勝負して来ました」(前出・同) ゴームズや若手捕手のミゲ ル・アマヤ(25)は、持ち球が多く制球力も高い今永にたくさんの球種を要求したくなることもある。だが、高めの強いボールも使わなければパワーのあるメジャーリーグのバッターたちは抑えられない。カブスの捕手陣も今永の制球力を活かす配球を考え直してくれたことが成功に繋がったのだろう。環境を変えて活躍した選手は日本にもいるが、新しい環境で活かせるものが自身にあるかどうかも重要だ。
デイリー新潮編集部
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