メジャーFA市場で「菊池雄星」の注目度が急上昇 “覚醒”に導いた「ダルビッシュの相棒」の存在
雄星が覚醒した理由
「所属先未定」での新シーズン突入では菊池も困るはずだが、FA市場で高評価されているのが事実のようだ。その背景には、“ダルビッシュ要素”も関係していた。 新天地移籍後、菊池の配球が変わった。多くの米メディアが指摘していたのは、「スライダーの割合」が増えたこと。これが、“ダルビッシュ要素”である。アストロズでの初登板は8月2日(現地時間)のレイズ戦だった。勝ち星はついていないが、6回途中までを投げて被安打3、失点2。球団史上3人目となる8者連続三振も記録し、ヒューストンのファンに強いインパクトを与えた。 「スライダーを多投させたのが、捕手のビクター・カラティーニ(31)です。カブス、パドレス時代には『ダルビッシュのパーソナル・キャッチャー』と呼ばれていました」(前出・同) パドレスの次に、ブルワーズに移籍していたカラティーニは、24年はアストロズと契約。盗塁阻止率は20%台だが、ダルビッシュが認めていたのは配球術だ。メジャーリーグの捕手は登板した投手の持ち球を全て使おうとする傾向があるという。また、対戦するバッターの苦手コースを徹底して突くか、「もっとも多い打球方向」に味方野手を寄せるなどの戦略を講じる。しかし、カラティーニは味方投手がその日に投げた変化球のうち、もっとも調子の良いものを選んで配球を組み立てていく。エンドランなどの作戦も読み、相手チームの打順も考えて球種を要求するそうだ。 「元々、変化球投手と組むと好リードをすると言われていました。彼とバッテリーを組んだときのダルビッシュは首も振りますが、攻守交替でベンチに帰ってきた後には、二人で話し合って配球を組み立て直していました」(前出・同) カラティーニは菊池のスライダーの軌道に着目し、多投させた。また、その曲がり具合を大きく見せるため、チェンジアップと直球で内外角のコーナーを広く使ったという。この配球の妙はダルビッシュとのコンビでブラッシュアップされたと言っていい。 菊池のスライダーの割合はブルージェイズ時代は10%ほど。アストロズ移籍後は26%に増えた。9月25日には古巣のマリナーズを相手に投げて2失点を記録したが、「真っ直ぐが速くなった」の声も聞かれた。 「アストロズ移籍後は5勝1敗。菊池が投げた10試合中、チームは9勝を挙げています。地区優勝に貢献してくれましたし、ジョー・エスパーダ監督(49)はワイルドカード・シリーズの第3戦で菊池を先発させるプランでした。チームが連敗してしまったため、登板はありませんでしたが、ワイルドカード・シリーズは3試合制なので、1勝1敗で迎える大舞台を菊池に託そうとしていたのです」(現地記者)