静岡知事選も「自民敗北」、麻生政権末期と共通点 支持率低迷、総裁選に向け“岸田離れ”も拡大
当選した鈴木氏は、浜松市長を4期16年務めた元衆院議員。県内では知名度も高く、市長としての実績もあり、自動車大手スズキのドンとされる鈴木修相談役ら県西部政財界の支援を受け、次期衆院選もにらんで泉健太・立憲民主代表や玉木雄一郎・国民民主代表らも応援に入ったことで、地盤の県西部を中心に支持を拡大して接戦を制した。 これに対し、静岡市出身で総務官僚から同県副知事となった大村氏は、県中部政財界の支援を受け、自民色を薄めた「オール静岡」で鈴木氏を追い上げたが、わずかに及ばなかった。
大村氏にとって、選挙の告示前に、同県内を地盤とする自民有力者だった塩谷立衆院議員(比例東海)が裏金事件で離党。さらにいわゆる“パパ活”問題で宮沢博行前衆院議員(同)が議員辞職したことが、選挙活動の足を引っ張る結果となったのは否定できない。 選挙結果を踏まえ、大串博志・立憲選挙対策委員長は26日深夜、記者団に「自民が政治不信の問題を払拭できていない中で、野党にしっかりしてくれという声の表れだ。衆院選に向けて、受け皿になれるように頑張りたい」と強調したと報じられている。これに対し小渕優子・自民選対委員長は「県民の審判を真摯に受けとめる」との談話を文書で発表するにとどめた。
■「自公」は前面に出られず、立憲・国民は共闘アピール 今回知事選では、与党の公明が早々に自主投票を決めるなか、自民は告示直前の5月7日に、党本部が大村氏の推薦を決めたが、選挙戦では党幹部や閣僚の現地入りを封印して、裏金事件による逆風回避に腐心。これに対し、立憲は補選全勝から政党色を前面に出し、泉健太代表や野田佳彦元首相が、玉木雄一郎・国民民主代表らとも連携して、野党共闘をアピールした。 選挙結果も踏まえ、国会は週明けから「政治改革」が最大の山場を迎える。裏金事件を受けた政治資金規正法改正案をめぐり、与野党協議が大詰めとなるからだ。自民が単独提出した改正案には、野党が「はしにも棒にもかからない内容」と反発。自民も知事選敗北でさらに追い込まれるのは避けられそうもない。