スキージャンプの小林陵侑「やるなら今しかねぇ」──世界記録、291mの大飛行に成功!
ノルディックスキー・ジャンプ男子の小林陵侑はアイスランドの雪山でスキージャンプの最長記録更新に挑戦。291mの大ジャンプに成功した俊英に無謀なチャレンジを選択する理由を訊いた。 【写真を見る】291mの大ジャンプに成功!
小林陵侑、世界記録更新に挑む
「やるなら今しかねぇ」 無謀とも言える挑戦の理由を問うと、小林陵侑はそう答えた。 今年4月、パートナーシップを結んでいるプラダ、レッドブルとともに、スキージャンプの世界記録更新に挑んだ小林は、291mのジャンプに成功した。この記録は非公式ながらも、世界最長飛距離となる。通常のラージヒルのジャンプ台は約140m。アイスランド北部のスキーリゾート内に特設されたジャンプ台の高さは360mというから、現役選手の挑戦としてはあまりにも危険、というよりも無謀だ。 「こういったサポートが受けられるのは自分が現役のトップアスリートだからこそ。ビッグジャンプをこのチームで成し遂げられたこと自体が素晴らしい経験でしたし、有意義なものだったと考えています」 「Breakthrough(≒スポーツの限界突破)」を座右の銘に掲げる小林の「世界記録を更新できるジャンプ台がなければ作ってしまおう」という言葉にプラダとレッドブルが共鳴して共同企画は実現した。 「未知の挑戦だったので、今まで歩んできたジャンプ人生の延長線と考えました。あえて特別なことはせず、強いて言うなら“自然体”を意識して、いつも通りの試合に臨むような感覚で準備しました」 限界突破を果たした小林に次のチャレンジについて尋ねた。 「難しいですね。これからじっくりと次の目標を考えていきたいです。目標だった300mのジャンプは達成できなかったので、もし次の機会があれば挑戦したいと思います」 8月に北海道・札幌で行われた今季サマー初戦で優勝。昨季W 杯総合ランキング2位の実力を見せつけた。挑戦する王者、小林陵侑の視界は良好だ。
RYOYU KOBAYASHI 1996年生まれ、岩手県出身。本格的にジャンプを始めたのは小学校3 年から。2018 年にワールドカップ初優勝、2018 -2019シーズン初優勝から通算13勝をあげ、日本人初となる総合優勝を果たした。2022年2月北京オリンピックでノーマルヒル金メダルとラージヒル銀メダルの2つのメダルを獲得した。 WORDS BY AKIRA KAMIYA @ GQ