「両耳の鼓膜が破れ…」プリンセス天功『8時だョ!全員集合』にも出たアイドルが一転 16歳で“イリュージョニスト”になる覚悟を決めたわけ
マジックなんて初めてですから、とにかく覚えることがたくさん。中国やエジプトなど、何千年ものマジックの歴史から、その仕組みまですべて覚えなきゃいけない。ものすごい量の本を毎日読み、勉強漬けでした。 これまで何度も危険な目にあっていますが、最初にそれを経験したのが、襲名前に挑んだ富士山での脱出ショーです。初代の引田天功さんが、富士山での大脱出を日本テレビでやる予定だったのですが、倒れてしまい、気圧の高い富士山に登れない。それまでマジックやマジシャンの存在を知らなかったのに、急にテレビ局から「女の子のほうが、視聴率が取れるから」と言われ、同じ事務所の私が代役を務めることになったんです。
── 下手をしたら命に危険が及ぶような危険なショーですよね。怖くなかったですか? 天功さん:もちろん怖かったですよ。でも、「一度引き受けたことなのだから、大人としてちゃんとやりきりなさい」と周りの大人たちから説得されて。ショーを成功させるために、ものすごい人数の大人たちが動いているのを見て、私ひとりのわがままは通せないなと思いました。それに、「18歳までしか生きられないのなら」という開き直りのような気持ちもありましたね。
── 当時はまだ16歳くらいですよね?考え方がすごく大人びていらしたのですね。 天功さん:本当は16歳だったのですが、大爆破で火を使うので、消防法違反になっちゃうから、「19歳ということにしてください」と言われました。今だとありえない話ですね(笑)。しかも当時は、命綱も何もなしで、はしごにぶら下がってヘリコプターから登場するというオープニング。どうすればいいかわからず、「どうやってはしごにつかまっていればいいんですか?」と聞いたら、「下を見たらダメ、絶対怖くなるから。それよりも、地平線の右側を見て、次に左側を見て、最後に上を見る!」とだけ教えられて。初代がそれをやっていたので、代役の私も同じことをしなくてはダメだということで、必死でやりました。