能登半島地震から5カ月…懸念される「災害関連死」 認定へのハードルにひろゆき「あからさまに違う事例以外は通すべきでは」
能登半島地震から5カ月。石川県は5日、復興のための基金が約540億円になると発表した。今後、復旧・復興作業が加速すると期待されるが、県では今も2854人が避難生活を送っている中、懸念されているのが「災害関連死」だ。 【映像】「トイレが汚い」も発端に…災害関連死の発生プロセス(一部) 建物倒壊など災害によって直接的に亡くなるのではなく、避難生活による病気の発症や、持病の悪化などで間接的に命を落としてしまうこと。石川県は珠洲市・輪島市・能登町で合わせて30人の災害関連死が認定されたと発表。そのうち、90代の女性は避難所で新型コロナに感染した結果、心不全で亡くなり、60代の男性は避難所生活で心身に負担がかかり基礎疾患が悪化、肝不全で亡くなったという。 8年前の熊本地震では、地震による直接的な死亡が50人だったのに対し、災害関連死はその4倍以上となる218人で、死者の約8割を占めた。防ぐにはどうすればいいのか、課題はどこにあるのか。『ABEMA Prime』で議論した。
■「申請主義」でためらう場合も…認定の課題
災害関連死は、法律で災害が原因で死亡したと認められたもので、医師や弁護士などによる自治体の審査会で認定される。生計維持者が死亡した場合は500万円、その他の者が死亡した場合は250万円が支給される。 関連死審査会の認定には課題もある。過去には審査時間が5分未満という場合もあった「審査の不透明さ」、因果関係に応じて支払い割合を変える「1か0かの判断」、提出する労力とハードルがとにかく高い「申請主義」がある。
ノンフィクションライターの山川徹氏は「東日本大震災の時に、40代のお母さんを亡くした女性の申請を手伝ったことがある。A4の紙に災害前・被災後の状況、既往症などを書かなくてはいけないのだが、突然の状況で論理的に説明できるかどうか。同時に、身内の死を思い出す作業は非常にハードルが高い。そもそも彼女は災害関連死の控除があることも知らなかった。また小さい集落だと、市役所に行くと親戚や幼馴染がいて、“身内の死をお金に換えるのか”という声が怖くて申請できなかった、窓口で“おそらく関連死じゃないから申請しても無駄だ”と言われて申請しなかったという人の話も聞いている」と述べる。 過去、災害関連死が認められたケースには、避難所でコロナ感染、避難所や壊れた自宅での生活でうつ病から自死、被災の心身負担で持病の高血圧が悪化し視床出血した事例などがある。一方、認められなかったのは、屋根修理中に転落死、停電中にろうそくを使用し一酸化中毒で死亡、透析治療が一日遅れ再開も2カ月後に腎不全といった事例だ。