舛添都知事、突然の延命演説 「ホテル面談」疑惑は口閉ざしたまま
急所突く追及に取り繕う場面も
こうした知事による決死の「サプライズ」が閉会直前にあった一方、「面談疑惑」に絡んではこれまでと同じく、知事は「相手があることなので」「政治家としての信義に基づいて」などの理由から出版社社長なる人物の名を明かそうとはしなかった。 だが、急所を突く追及も行われた。 「知事は5月の釈明会見で2014年1月の正月旅行はあらかじめ家族(子供)と約束していたので、(急きょホテルの宿泊部屋で会議をした)と言っている。では、いつ、当初は旅行費としての支出だったのに、政治活動費として支出すると決めたのか」 曽根はじめ氏(共産)のこうした問いに、知事は「極めて重要な会議(面談)をした後にそう決めた」と答弁した。 これを受けて曽根氏は「二の矢」として自らが実際に問題のホテルに宿泊した際の体験をもとに詰め寄った。 「あのホテルから領収書をもらう場合、チェックインの時点で宛名を書きこむことになっている。知事がチェックインのときの宛名と、チェックアウトの際の宛名を変更すれば、ホテル側は面倒な切り替えの手続きが必要になって手書き領収書になったりする。あのホテルは10年間領収書を保存しているので(疑惑を晴らすためにも)取り寄せるべきではないか」 知事は「(チェックアウトの際)領収書の切り替えをした記憶はない」としながら、「そういうことなら請求してみます」とその場を繕った。
公明都議からも「即刻辞職を」
また知事が政治資金から購入した美術品に関する疑惑では、まつば多美子氏(公明)が鋭い問いを連発した。知事が代表の政治団体がすでに解散しているのに、その団体が政治活動名目で買い入れた美術品計300万円相当が、知事の新たな政治団体の資産として記載されていなかったからだ。 「自動車については新たな団体に引き継いで記載しているのに、美術品について記載していないのは政治資金規制法違反(不記載)に当たる」と追及した上で、まつば氏は美術品に関する知事の購入リストに加え、政治活動としてプレゼントした美術品やその相手のリストなどの資料請求を行った。 与党会派ながら、まつば氏は「知事は即刻辞職すべきです」と言い切り質問を締めくくった。 一問一答形式でこの日、知事と対峙した都議は計6人。大半が独自調査の結果をもとに疑惑解明をただす中、鈴木隆道氏(自民)はマスコミ報道をもとにした手ぬるい質問に終始し、他の5人とは別に同氏から辞職を求める声は聞かれなかった。 参院選を間近に控えた上、4年後の都知事選の時期などを考慮し、知事の「サプライズ」発言の裏には自民の意向が働いていると見る向きもあり、15日に予定される不信任案の可否は微妙な情勢といえそうだ。(フリー記者・本間誠也)