高速道路に輸送専用レーンができる?「自動物流道路」で日本の輸送はどう変わる?
国土交通省は「物流の2024年問題」をはじめとした物流の危機に立ち向かうため、道路空間をフルに活用する「自動物流道路」の構築に向けた検討をはじめた。実現すれば高速道路上の中央帯や路肩、はたまた地下の空間の専用レーンを自動輸送カートが走行するかもしれない。逼迫していく物流需要に、日本の輸送はどのように変わるのか。 【図で見る】高速道路の輸送専用レーンを自動カートが荷物を運ぶイメージはこんなかんじ!
自動物流道路ってどんな道路?
日本の経済や生活を支えるうえで欠かせない「物流」だが、需要の拡大に対して、輸送能力は不足している。2024年4月には、トラックドライバーの労務管理の厳格化で、人手不足は加速するとみられている。いわゆる「物流の2024年問題」だ。 国土交通省によると、具体的な対応を行わなかった場合、2024年には輸送能力が約14%(4億トン相当)、その後も対応を行わなかった場合、2030年には輸送能力が約34%(9億トン相当)不足する可能性があるという。 そこで、国土交通省は、物流の2024年問題をはじめとした物流の危機に「自動物流道路」の検討をはじめた。 自動物流道路(オートフロー・ロード/Autoflow Road)とは、道路空間を活用した新たな物流システムのことである。国道交通省の構想では、高速道路上の中央分離帯や路肩、あるいは地下の空間に、輸送専用のレーンを設置し、そこにコンパクトなサイズの自動輸送カートを走行させるという。 2023年(令和5年)10月24日に実施された国土幹線道路部会にて、逼迫する物流需要を踏まえたうえ、高速道路空間を最大限に活用した自動物流道路を今後10年での実現を目指すとして、中間とりまとめに盛り込まれた。 そして、2024年(令和6年)2月21日には、自動物流道路の実現に向け「第1回 自動物流道路に関する検討会」を実施。今夏には、自動物流道路の想定ルートを含めて中間とりまとめを行う。 国土交通省は、10年後の2033年頃には、一部の区間で運用を開始するなど、何かしらのかたちで実用化にこぎつけたいとしている。