ギャン子はいてもゲルググ子はいない! でも主力機選定は勘弁…1月5日「ギャンの日」
西洋甲冑風味にビームサーベルに盾ミサイル、俺たちのロマン機体!
みなさんご存じのとおり、1月5日は「ギャンの日」です。「ギャン」はTVアニメ『機動戦士ガンダム』に1話だけ登場したモビルスーツであり、その型番「YMS-15/MS-15」にあやかった記念日となります。 【画像】本家よりギャンしてる「R・ギャギャ」ほかこちらが「ギャンの眷属」です(5枚) そもそも、劇中で「マ・クベ」が「私用に開発していただいたモビルスーツだ」と述べていたため1機のみのワンオフものかと思いきや、後にバリエーションが次々と登場しました。『機動戦士ガンダムZZ』でも設計思想を受け継ぐ「R・ジャジャ」が大いに見せ場を作り、関連作品で「子孫」が大繁栄しています。なぜだ? 理由のひとつは「ゲルググ」と次期主力機を争ったとの設定が、書籍『ガンダムセンチュリー』にて追加されたためです。全3機も試作され、量産前提だったのなら、設計が残っていてもおかしくはありません。 実際、ギャンは優秀なポテンシャルを秘めた機体です。戦闘経験が豊富とは思えないマ・クベが乗り込み、ニュータイプ能力が極限まで高まっていた頃の「アムロ」相手に粘りに粘ったのですから、十分にゲルググとタメが張れるでしょう。 よりメタ的には、人気が出る要素が詰め込まれた「ロマン機体」だからでしょう。西洋の甲冑騎士のような外見はスタイリッシュで、ジオン初というビームサーベルのなんと似合うことか。しかも、敵の攻撃を受けるシールドには宇宙機雷「ハイドボンブ」と「ニードル・ミサイル」を満載しており、素人目には正気の沙汰とは思えません(安全性は考慮されているはずですが)。 ギャンの遺伝子が大繁栄するのはイフ(if)の世界、つまりゲームのなかでのことです。ゲルググと主力機の座を争ったということは「歴史の分岐点」を意味しています。ゲルググもMSV、つまり「アニメ化されなかった実在のバリエーション」が生まれたように、ギャンにも派生機が登場するのは自然です。 それを一気に叶えたのが、シミュレーションゲーム『ギレンの野望』でした。テレビと同じタイプの「ギャン先行量産型」は、「ランバ・ラル」や「シャア・アズナブル」など名だたるエースパイロットの愛機となり、ブースター装備の「高機動型ギャン」は「シン・マツナガ」や「ジョニー・ライデン」の専用機も登場しています。 「なぜ主力機に選ばれるのか」の理由は、「プレイヤーがそう望んだから」以外に何もありません。連邦軍がビームライフル等で戦闘をしているなか、ほぼゼロ距離で戦う機体を軸にしてどうするんでしょう。また接近戦であれば技量の高いパイロットを必要としますが、末期のジオンは学徒動員を行うほど人材不足でした。 オンラインゲーム『ガンダムネットワークオペレーション』(2009年終了)では、ギャンとゲルググの選択は投票で決まりました。おそらくは単なるノリでギャンを主力にしたジオン側が中距離での戦いに大苦戦し、「誰が選んだんだよ!」と揉めていた記憶もあります。 しかし、キャノンを背負った「ギャンキャノン」が登場すると、中距離でも戦えるわ接近戦もできるわのチートっぷりでした。とはいえそれ以前の劣勢を押し返せず、戦局を覆す難しさを知ったものです。 その後、ガンプラへの愛が凝縮されたアニメ『ガンダムビルドファイターズ』シリーズでは、「ギャンギャギャン」「ギャンバルカン」「R・ギャギャ」や「ギャンスロット」といった眷族達が華々しく物語を彩りました。何より「ギャン子」(サザキ・カオルコ)はいても「ゲルググ子」はおらず、ロマン的にはギャンの勝ちでしょう!
多根清史