変わる介護制度、課題は何?/社会保障改革のざっくり解説
社会保障制度改革のざっくり解説、今回は「介護」を取り上げます。政府の社会保障制度改革国民会議の報告書は、介護分野について、「一定以上の所得のある人」の自己負担を引き上げるべきだとしています。想定されているのは、現状の1割の自己負担から2割負担への引き上げです。夫婦所得(高齢者含む)が合計で年300万~400万円という金額が負担増の境目となりそうです。
「要支援者」は介護保険の対象外に
また、介護の必要度が比較的低い「要支援者」の高齢者への介護予防サービスは介護保険から切り離し、段階的に市町村が行う地域包括推進事業(仮称)に移行するとしています。介護保険の財政悪化に対応しつつ、より柔軟で効率的なサービスをめざします。 介護保険法では、日常生活において介護を必要とする状態を意味する「要介護」と、日常生活に見守りや支援を必要とする状態を意味する「要支援」の2種類の認定が別々に規定されています。 「要介護」と「要支援」の認定を受けた人は約554万人(2012年12月時点)。そのうち介護保険からの切り離し対象にされている「要支援」の人は、4分の1の約150万人に上ります。 こうした改革の動きについて、高齢者からは負担増加やサービス低下への不安の声も上がっています。 たとえば、「要支援」の高齢者への介護予防サービスが介護保険から切り離され、市町村の事業に移された場合、負担額は市町村が決めるといわれています。そうなると、同じサービスでも全額自己負担とする場合や、従来通り1割負担のままなど、自治体によって対応が分かれる可能性があります。 また、軽度な認知症患者などは、介護保険の対象から外れる可能性が高いとみられています。産経新聞(8/3付)は、「市町村にも熱心な担当者はいるが、一定の基準や制約なく介護保険から外すことは放任に等しい」という「認知症の人と家族の会」(京都市)の高見国生代表理事の声を伝えています。 ※この記事は「社会保障改革のざっくり解説」シリーズの2回目です。同シリーズの記事は下の関連記事リンクからどうぞ。