ラルフローレンが中国で好調な理由…高級品市場の減速に逆行(海外)
ラルフローレンは、中国をはじめとしたアジアでの好調な売り上げを報告した。 アメリカの象徴的なブランドであるラルフローレンは、中国でのラグジュアリー市場の減速に逆行しているようだ。 【全画像をみる】ラルフローレンが中国で好調な理由…高級品市場の減速に逆行 ラルフローレンが体現するクラシックなラグジュアリーは、中国の消費者の共感を呼んでいる。 アメリカの象徴的なブランドであるラルフローレン(Ralph Lauren)は、「中国の消費者にお金を使わせる」という、多くのラグジュアリーブランドにとって現在ほぼ不可能になっていることを成し遂げている。 ラルフローレンの成功の重要な要素のひとつは、その「アメリカらしさ」を堂々と打ち出している点にある。 LVMHやケリング(Kering)といったラグジュアリー・コングロマリットが、中国の不動産危機や「ラグジュアリー・シェーミング(贅沢品を持つことがかえって恥ずかしいとされる風潮)」の台頭などの影響により中国での売上が落ち込む中、ニューヨークに本社を構えるラルフローレンはまったく逆の状況にある。 ラルフローレンが2024年11月7日に発表した2025会計年度第2四半期決算の報告によると、世界の既存店売上高が前年同期比で10%増加した。特にアジアが成長を牽引しており、既存店売上高は11%増を記録した。アジアでの売上成長率は恒常為替レートベースで10%増加し、中国市場単独では10%台前半の成長となった。 ラルフローレンにとって、中国は比較的小さな収益源で、全体の8%を占めるにすぎない。しかし、同社は中国市場で確かな手応えを感じており、それを十分に認識している。 「以前にも述べたが、変動の激しい環境において、ラルフローレンは確実に攻めの姿勢を貫いている」と、同社のパトリス・ルーベ(Patrice Louvet)CEOが決算報告会でアナリストに向けて語った。
ロゴは時代遅れだが、「プレッピー」は今も健在
中国での高級品売上低迷の一因は、政策による後押しもあって、派手な富の誇示を控えるようになったことにある。 習近平政権は10年以上にわたって富の誇示を抑制する方針を取ってきた。その結果、中国の消費者の間で「ラグジュアリー・シェーミング」が広がっている。 このような風潮は、「あからさま」で「派手」なブランドに打撃を与えているが、ラルフローレンのように「クラシックで控えめなラグジュアリー」を特徴とするブランドにとっては、成長のチャンスをもたらしていると、GlobalData Retailのマネージングディレクター、ニール・サンダース(Neil Saunders)がBusiness Insiderに宛てたメールに記している。 最近の消費者は自分の富を誇示するのではなく、長持ちする製品を求めているという傾向があり、ラルフローレンのスタイリングやブランドポジションがそのトレンドに合致しているのだという。 コンサルティング大手マッキンゼー(McKinsey)のグローバルビジネスストラテジストでシニアアドバイザーのマーティン・ロール(Martin Roll)も、ラルフローレンが「クラシックなアメリカのライフスタイル」を体現していることが重要だとBusiness Insiderに宛てたメールに記している。 中国市場が派手な消費から「より洗練された」「時代を超えた贅沢」へとシフトする中、消費者は「品質、信頼性、伝統、ステータスを象徴する」ブランドを求めているとロールは指摘する。 ルーベCEOは決算報告で、ラルフローレンのケーブルニットセーター、ポロシャツ、スポーツコートなどの定番商品が、中国内外の売り上げをけん引していると述べた。 「我々のコア(となる価値観)は、東京、ソウル、上海、ミラノで共感を呼んでいる。世界中で消費者が未来に対して不安を抱え、支出に対してより慎重になっている今、消費者は自分が信頼するブランドや、信頼できる商品のカテゴリーに目を向けている」