7月中、毎日がお祭り 山鉾巡行だけではない京都・祇園祭の楽しみ方
先祭と後祭、どっちにする?
また本来、祇園祭には先祭と後祭という二つの山鉾巡行があり、7月17日の先祭と7月24日に後祭に分かれて巡行していました。ところが昭和40年以降はこの二つが一緒になったため、巡行は17日のみとなっていましたが、50年ぶりに2014年から後祭が復活し、全部で33基ある山鉾のうち、23基が先祭に、そして残りの10基が後祭に巡行するようになりました。 俗に時期を逃して用をなさなくなることを「後の祭り」と言いますが、山鉾の多くがみんな先祭に出てしまって、後祭は小規模なので先祭を見逃してしまったことがその語源だという説もあります。真偽のほどは定かではありませんが、私は後祭が見るに値しないとは全く思っていません。むしろ宵山にしても先祭に比べて人出が少ないため、落ち着いてゆっくり鑑賞できるというメリットもあるのではないかと思っています。 京都は盆地なので冬が寒くて夏が暑いと言われます。寒い冬はいくらでも暖かくすることができますが、昔は暑い夏を涼しくするのはなかなか大変だったでしょう。そんな暑い夏だからこそ楽しめる祭りとして長く続いているのではないでしょうか。室町時代の一時期、八坂神社が日枝神社の支配下に置かれた時に比叡山延暦寺が神事としての祇園祭を禁止したそうです。ところが京の町衆は「神事これ無くとも山鉾渡したし(神社としての行事がなくても、山鉾巡行だけは行いたい)」と言って決行したそうです。なんとも心地よい町衆の心意気ではありませんか。 (経済コラムニスト・大江英樹)