高校野球の曲作り30年 西浦達雄「チャンスはどこにあるかわからない」
「チャンスはどこに転がっているかわからない」
北新地のバーテンから高校野球ソングのカリスマとなった西浦。この話をしながら「いつも若い人には『チャンスはどこに転がっているかわからないから、常にチャンスに対応できるよう意識してほしい』と伝えているんです」と話す。 もし、店に来たプロデューサーと話した時、手持ちのテープがなかったら、人生は変わっていたのかもしれない。 そして、歌のイメージは常に、自分の音楽人生を思い浮かべているという。先のバーテン時代に経験した雑用からバンドマンまでこなす生活。高校卒業後、企業などへ就職しなかったため、バーテンの仕事で色々経験を積めたことにより、人間の心の内がわかり、歌にも反映していけたという。
妻の後押しで早いうちから導入できたDTM
また、こうした曲作りは、妻の支えも大きかった。音楽雑誌でパソコンを使用して音楽を作成編集するDesk Top Music(デスクトップミュージック)の存在を知った。 今でこそ当たり前だが、1980年代では高価で手が出せなかった。妻に相談すると「買ってみたら」と言ってもらい、60回ローンで購入。「その分、頑張るぞ」とばかりに、西浦は自宅でレコーディングを行い、曲作りのコストも浮かせた。 「一回のレコーディングで、200万くらいかかるのですが、これだと、家でいつ何時でも言うことを聞いてくれるコンピューターというミュージシャンがいるわけですから」と笑顔で話す。西浦は同大会中継のエンディングテーマ曲を11曲作ったが、東京で録音した「オレたちの純情」「手の中の青春~ミレニアム・ヴァージョン~」以外は、すべて自宅で作ったものだという。
13日「おはよう朝日です」生出演で新曲を披露
こつこつと努力を続け、チャンスもつかんだ西浦。現在は、20日に兵庫県西宮市で行われるコンサート「~オレたちの夏~」に向けての練習に励む。「これは私の歌を愛してくださる有志のみなさんが『100回記念だからこそ聴きたい』と企画してくださったんです。だから全力で歌います」と気合い十分だ。 13日にはテレビ番組「おはよう朝日です」に生出演し、新たに作った球児をイメージした曲「絶対、ぼくは忘れない」も披露するという。 熱戦を繰り広げる甲子園で球児やファンらに熱い思いを歌で伝えてきた男の夏は、これからまだまだ盛り上がりそうだ。また、テレビやラジオで耳にするCMソングもたくさん手がけており、そちらも最近、いろいろと進めているという西浦。その話はまた、後日掲載する。 ■西浦達雄(にしうら・たつお)1954年9月22日生まれ。大阪市東住吉区出身。高校在学時に軽音楽部へ入部。ヤマハポピュラーソングコンテスト(ポプコン)関西の決勝まで進んだ。大阪・北新地などでバンドやバーテンなどを経験し、1987年「手の中の青春」がABC朝日放送全国高校野球選手権中継のエンディング曲に採用される。1991年の「瞬間」はシングルでオリコンランキング入りし話題を呼んだ。12日午後10時半からABCラジオ「西浦達雄 オレたちの夏」に出演。20日午後7時からは西宮フレンテホールで「西浦達雄コンサート2018 ~オレたちの夏~」を行う。