「核の傘は破れ傘」平和への祈りを折り鶴に託す 待ちに待ったノーベル平和賞 現地で被爆者が核廃絶への想い語る【長崎発】
4大学が若い世代の育成も動きだす
日本被団協のノーベル平和賞受賞決定を受け、若い世代の育成も動き始めた。活水女子大学など長崎県内のキリスト教系の4つの大学が「被爆地・長崎の大学として核兵器のない世界の実現に向けて、若い世代の育成により一層の力を注ぐ」とする共同声明を発表した。 共同声明は、活水女子大学、長崎外国語大学、長崎純心大学、鎮西学院大学の連名。今後、英文も含め各大学のホームページにも掲載される。4大学では2025年の被爆80年に向け、合同で学生主体のフォーラムやシンポジウムを開く予定だ。 活水女子大学の広瀬訓学長は「人々の理性に働きかけ、核兵器のない世界を実現するための道筋と世界の平和を達成するための方法を見出すのは、我々大学に身を置く者の使命である」と話す。
ヨーロッパで核廃絶運動のきっかけになれば
日本被団協は、10日に迫ったノーベル平和賞授賞式を前に会見し「核兵器の恐ろしさが広く伝わっていないヨーロッパで、被爆の実相や核兵器廃絶を訴えたい」と力を込めた。 会見には、ノルウェー・オスロで行われるノーベル平和賞の授賞式に向かう日本被団協の田中熙巳代表委員など6人が出席し、意気込みを語った。 田中熙巳代表委員は「今回の受賞で、核兵器を廃絶するために自分たちがこれから活動をしていかなければ、という気持ちを持っていただいて、ヨーロッパにも大きな核廃絶運動が起こるきっかけになってくれれば」と話した。 授賞式では、田中熙巳代表委員がスピーチし、長崎から参加する田中重光代表委員がメダルを受け取ることになっている。スピーチ原稿には1カ月ほどかけて被団協の歩みなどをまとめた。 田中熙巳代表委員は「原稿を確認したいとき、“こうだったよな”と相談する人がすでに亡くなっていていないというのは、すごく原稿を書きながら、寂しい思いと悔しい思いをした」と、ここまで長い年月がかかったことを物語った。 現地では被爆証言も予定され、アメリカの「核の傘」の下にあるノルウェーでも核兵器廃絶を訴えたいとしている。和田征子事務局次長は「核の傘に入っても何の力もない。私はいつも“破れ傘”と思っている。だから、そこをしっかり言わないといけない」とオスロでの被爆証言の意義を語った。 会見では、代表団派遣のため行われたクラウドファンディングについて、スタート初日に目標の1000万円に達し、これまでに3600万円あまりが寄せられたことも報告された。 日本被団協は12月8日に日本を発つ予定。授賞式には、全国から日本被団協の被爆者や関係者など約30人が出席し、すべての被爆者や被爆2世、NGOなどを合わせると80人以上が渡航する見通しだ。授賞式は10日午後1時(日本時間午後9時)から開かれ、長崎市はパブリックビューイングを行うことにしている。 (テレビ長崎)
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