Googleの プライバシーサンドボックス に対するトレードデスクの「本音」
何年にもわたる激しい議論、不安や緊張、政治的な足の引っ張り合い、そして度重なる遅延の果てに、Google Chromeは年内にサードパーティCookieのサポートを終了する方向で進んでいるようだ。 しかし、2024年12月31日の期限までに、実際に最終的な廃止に至るのかと言えば、世の多くの人々はいまだ大いに懐疑的だ。ゆえに、ここで現状についていくつかの事実確認をしておくことは十分に価値のあることだろう。
「プライバシーサンドボックスには展望がない」
トレードデスク(The Trade Desk、以下TTD)がプライバシーサンドボックスに批判的であることはよく知られるところだ。昨年6月には、ジェフ・グリーンCEOが米DIGIDAYの取材に応じ、現在の計画に沿ってサードパーティCookieの廃止を推し進めることは「戦略的な誤り」だと述べている。 TTDが運営するメディア「ザ・カーレント(The Current)」は12月11日付けで「Chromeのプライバシーサンドボックスには展望がない」とする論説(「The anti-moonshot: Why Chrome’s Privacy Sandbox is a failure of vision」)を掲げたが、これを読んだ人々は直感的に、「アドテク業界最大の独立系ベンダーがGoogle主導のプライバシー構想から撤退する」と感じたかもしれない。 しかし、人の言葉には時に裏がある。プライバシーサンドボックスを強烈に批判する一方で、TTDは米DIGIDAYの取材で、プライバシーサンドボックスAPIの一部連携を模索していると認めている。 TTDの事業にとって、ディスプレイ広告はもはやレガシーメディアという位置づけのようだ。同社が公表した直近の数字を見る限り、現在、TTDのプラットフォームで運用するインプレッションのうち、ディスプレイ広告は「かろうじて2桁台のシェア」を占めるにすぎない。