「国防費増額」トランプ2期目に期待する韓国防衛産業…オーナーも動く
トランプ米次期大統領が軍事力再建のために国防予算を大幅に増額すると明らかにし、韓国防衛産業企業が米国市場進出に向けて積極的に動き出している。 防衛産業業界によると、トランプ政権2期目は米国の国防費を大幅に増額する計画という。大統領選挙の核心公約として米軍隊の再建を強調したトランプ氏は、国防産業を通した雇用創出効果も狙っている。これに先立ちトランプ政権1期目は初年度に国防費を10%近く増やした。 トランプ氏が北大西洋条約機構(NATO)などに防衛費支出を増やすよう圧力を加えるのも、韓国の防衛産業企業には受注の期待感を高める好材料だ。ロシア・ウクライナ戦争の影響とトランプ氏の圧力でNATO加盟国が自国の安全保障のために国防費を増やす場合、新規武器の購買につながる可能性が高いからだ。 こうした状況に対応するため、韓国主要防衛産業企業はグループ総帥一家が前面に出て防衛産業事業を管理する姿だ。金升淵(キム・スンヨン)ハンファグループ会長はグループ防衛産業事業の主軸であるハンファエアロスペースの会長を引き受けて経営に合流した。14日には(株)ハンファとハンファエアロスペースの報恩(ボウン)事業場を訪れて職員を激励した。トランプ氏が協力を要請した防衛産業産業をグループ総帥が直接管理して注力するということだ。 ◆韓国防衛産業にまた祝砲か 「陸・海・空に挑戦」 国内防衛産業企業が真っ先に目を向けるのが世界最大防衛産業市場の米国本土進出だ。ハンファエアロスペースはK9自走砲の米国輸出を狙っている。現在、米陸軍はハンファエアロスペースを含む5社を自走砲現代化事業の対象に選定し、実証テストを進行中だ。今月5日には元韓米連合司令官3人がハンファエアロスペース事業場を訪問し、K9自走砲生産ラインなどを視察しながら「K9と弾薬運搬車K10は米軍に必要な戦力」と強調した。 LIGネクスワンが開発した対艦誘導ロケット「匕弓」の米国輸出の可能性も提起される。また韓国航空宇宙産業(KAI)は米国政府が推進中の高等訓練機(UJTS)事業に参加する予定だ。 米海軍艦艇の維持・保守・整備(MRO)事業はすでに受注の機会をつかんだ。ハンファオーシャンは8月、韓国国内の造船所では初めて米海軍軍需支援艦「ウォリー・シラー」のMRO事業を受注したのに続き、13日には米海軍第7艦隊に配属された給油艦「ユーコン」の定期修理事業を受注した。 ◆東欧・カナダ防衛産業市場をノック 昨年受注した東欧国家からの追加受注も期待される。現代ロテムは年内にポーランド軍備庁とK2戦車180両を追加供給する2次契約を締結するとみられる。現在は最終調整段階という。現代ロテム側はポーランドでK2戦車を免許生産し、韓国防衛産業製品輸出を技術ロイヤリティー輸出に一段階高める計画だ。 このほかルーマニアは今年7月、ハンファエアロスペースとK9自走砲54門(約1500億円規模)を契約し、現代ロテムのK2戦車とLIGネクスワンの「神弓」対戦車ミサイルの導入も推進している。 別のNATO加盟国のカナダは計60兆ウォン(約6兆6600億円)規模の潜水艦事業発注を控えていて、HD現代重工業とハンファオーシャンが受注競争をしている。 防衛事業庁によると、2019年に3兆5000億ウォンだった防衛産業の輸出額は昨年18兆9100億ウォンと4年間で5倍以上に成長した。政府は今年の防衛産業輸出目標値を28兆ウォン台としている。2027までに世界4大防衛産業強国に入るという計画だ。 チェ・ウソク韓国防衛産業学会長は「米国の国防費増額とNATO国家の自主国防の強化は、韓国防衛産業企業が挑戦できる大きな市場が新しく開かれるという意味」とし「新規武器の開発などに投資して準備してきた国内防衛産業企業に新たな機会になるだろう」と話した。