「これが試合だな」主将・石川祐希、第4S苦境21―20の場面でメンバーに鼓舞した、チーム最多21点決めた…フルセット逆転
◆バレーボール ネーションズリーグ男子福岡大会 日本 3(25―22、22―25、25―27、25―23、15―8)2 ドイツ(5日、北九州市西日本総合展示場) 1次リーグ第2週で、日本は、ドイツにフルセットの末に勝ち切って5勝目(1敗)を挙げた。パリ五輪出場権を得ているチーム同士の対戦は、セットカウント1―2になる苦しい展開となったが、主将の石川祐希(28)=ペルージャ=が、西田有志(24)=パナソニック=と並ぶチーム最多21得点でけん引して逆転勝ちした。次戦は7日に五輪でもライバルになる昨年大会覇者のポーランドに挑む。 日本の窮地を救ったのは、やはりエース・石川だった。主砲を欠くドイツに苦戦を強いられて迎えた最終S。12―7で、主将の強烈なジャンプサーブが相手コートに突き刺さった。チームに自信を与え、マッチポイントから山内がエースで締めた。2時間26分に及ぶ激闘を制し、ホームに集まった7722人の観客からは大歓声。21得点の石川は「どんなに悪い状況であれ、勝たないと意味がない。負けなかったことが唯一評価できるところ。最低限だった」と安どの表情を浮かべた。 4日の快勝から一転、厳しい戦いだった。第1Sは、石川の後衛からクロスに決める豪快なスパイクで先取。だが、第2S中盤から一変した。合流6日目の石川、藍とリベロの山本との連係不足が出て、守備の間を狙うサーブで攻め込まれた。第3Sも落とし、五輪を見据えても負けられない状況となった第4S、主将の声が響いた。21―20の場面でコートの中心にメンバーを集めた。「もう一度、やるべきことをしっかりやろう!」。チームを引き締めると、22―22で西田がライトから決めて流れを呼び戻し、勝利につなげた。 日本が五輪“前哨戦”と位置づける大会。昨年大会銅と急躍進する日本はマークが厳しくなる中で、勝利の経験を積むことも重要だ。「試合勘だったり、これが試合だなと感じられた」と石川。1次リーグ後に世界ランクで決まる五輪シードも考えると、格下相手に負けるわけにはいかなかった。 1日空いて、次戦は7日に昨年大会準決勝で1―3で敗れた世界ランク1位のポーランド戦。フィリップ・ブラン監督(64)は五輪を見据え、アウトサイドヒッターの大塚達宣の状態を確認するため補欠から登録し、石川を外すことを明言した。五輪本番での表彰台に焦点を合わせる主将は「連係の部分は修正し、しっかりと準備していきたい。もっといいプレーを見せたい」と気を引き締めた。(宮下 京香) ◆バレーボール男子のパリ五輪 1次リーグは出場12チームを3組に分け、1回戦総当たりで順位を決める。各組2位までと3位の成績上位2チーム、計8チームが決勝トーナメントに進む。1次リーグの組分けは、A組に開催国フランス、B組に世界ランク1位、C組に同2位が入る。同3~5位、同6~8位、同9~11位がそれぞれ抽選によって各組に振り分けられる。世界ランクは6月26日付に基づく。
報知新聞社