【京王杯SC回顧】昨年の雪辱を果たしたウインマーベル 母父フジキセキの血が驚異の粘りを呼ぶ
アイルハヴアナザーとフジキセキ
実況アナウンサーがほぼ断定してしまったように、直線残り200mの勢いは完全にレッドモンレーヴだった。最後方からの追い込みは鬼気迫るものがあり、誰もが勝負ありと感じた。しかし、ウインマーベルがその気迫を受け止め、抵抗し、最後にハナだけ前に出た。昨年2着に敗れた借りをきっちり返し、重賞4勝目をあげた。実に男前な馬だ。1400m重賞は昨年阪神Cから3連勝で負け知らず。4歳終わりから5歳にかけ、完成の域に達したといえる。JRAに1400mのGⅠがないのは残念だ。 【ヴィクトリアマイル2024 推奨馬】日本トップマイラー参戦、勝率30%&連対率50%データに該当! SPAIA編集部の推奨馬を紹介(SPAIA) 東京芝の重賞でアイルハヴアナザー産駒がロードカナロア産駒を封じるから、血統は不思議だ。米国クラシック二冠馬アイルハヴアナザーは大きな期待をかけ、日本に輸入されたが、ダート中心だったこともあり、5年で帰国した。やはり日本では芝の活躍馬を出さないと、なかなか評価はあがらない。 ウインマーベルは日本に残した最終世代でもある。葵Sで産駒初の芝重賞ウイナーとなって、そこから2年で4つの重賞を獲った。アイルハヴアナザーらしくない軽い走りはいったいどこから来るのか。母コスモマーベラスはフジキセキ産駒で愛知杯2着の実績を持つJRA7勝の活躍馬。その産駒のうち、ウインマーベルを含め4頭が父アイルハヴアナザーだ。きょうだいはウインジェルベーラ(函館2歳S2着)、ウインアイルビータ(芝2勝)、ウインオーサム(地方8勝)と芝で走る産駒も多く、堅実に結果を出してきた。アイルハヴアナザーともっとも相性がいいのが母の父フジキセキだった。 この組み合わせは通算【31-28-14-110】。産駒初の重賞ウイナーのアナザートゥルース、JRA6勝マイネルユキツバキなど活躍馬がならぶ。ことさらコスモマーベラスの仔は母の父フジキセキの影響が強く、スピードと粘りがウインマーベルに伝わったといえる。フジキセキは自身と同じく早めから全開で走る産駒を多く出す一方、イスラボニータのように5、6歳で再上昇することもある。こういった点もウインマーベルに宿るフジキセキの特徴といえる。