中国・陝西省、朱鷺(トキ)の国家研究センターを建設
【東方新報】陝西省(Shaanxi)の「漢中朱鷺国家級自然保護区管理局(Shaanxi Hanzhong Crested Ibis National Nature Reserve Administration)」が、中国で初めての「朱鷺国家研究センター」が9月から陝西省漢中市(Hanzhong)で建設開始されると発表しました。 陝西省林業局の范民康(Fan Minkang)副局長の話よると、朱鷺(トキ)は、中国の絶滅の危機に瀕した野生動物保護活動の代表的な種だが、40年以上にわたる保護活動で成果が上がり、世界の絶滅危惧種救済の成功例となっているという。 朱鷺は中国の国家一級保護野生動物であり、また「国際自然保護連合(IUCN)」の絶滅の恐れのある野生生物のリスト(レッドリスト)にも登録されている。 朱鷺は前世紀にはすでに朝鮮半島や日本などから姿を消していたが、1981年に中国の専門家が陝西省の秦嶺山脈(Qinling Mountains)の端にある漢中市の洋県の村、姚家溝で7羽を発見した。 中国で保護と繁殖が始まって以来42年、現在では朱鷺の世界個体数は1万1000羽を超え、昨年の陝西省の個体数調査では7700羽を超える個体数が確認されている。 范氏は「陝西省は現代の朱鷺誕生の地で、世界で唯一の自然生息地で、野生の朱鷺の重要な供給源でもあります、そこに『朱鷺保護研究センター』を建設して研究を行うことは、明らかな利点があります」と話す。 「国立公園とその他自然保護区の建設および野生動植物の保護に関するプロジェクト計画(21-35年)」では、ジャイアントパンダやアジアゾウなどの動物保護研究センターの建設を強化する必要性が強調されている。 「漢中朱鷺国家級自然保護区管理局」によると、野生の朱鷺の個体数の増加には、遺伝的多様性の低さ、時代遅れの監視・調査技術、一部の病理学的研究における未解決の問題など、まだ幾つかの問題があるという。特に「高病原性鳥インフルエンザ」のような個体群の安全を直接脅かす問題は朱鷺の保護と繁殖にとって重大な問題であるという。 野生の朱鷺の生息地の保護と地域社会との調和のとれた発展、そして朱鷺の野生復帰の持続可能で健全な発展は、取り組むべき喫緊の課題とのことである。 「朱鷺国家研究センター」は、朱鷺の保護、繁殖、そして自然界への放鳥に関する科学的研究に取り組む予定だ。(c)東方新報/AFPBB News ※「東方新報」は、1995年に日本で創刊された中国語の新聞です。