求む!ザーサイ栽培のボランティア 館山の中西さん「培ったノウハウ教えます」(千葉県)
希少な国産ザーサイを生産している館山ザーサイ農園(館山市正木)の中西慶次郎さん(67)が、ザーサイの種まき、管理などを手伝ってくれるボランティアを募集している。今シーズンの準備に向けて動き出した矢先、中西さんが原因不明の腕の震えで農機具がうまく扱えなくなってしまったためだ。中西さんは「ザーサイに興味のある人、農業をやってみたい人、これまで培ってきたノウハウを教えます」と協力を呼び掛けている。 中西さんは茨城県つくば市出身。若い頃にサラリーマンとして中国に滞在中、生のザーサイに出合い、そのおいしさに感動。「自分で作ってみよう」と28歳で会社を辞め、地元のつくばで栽培方法も分からないままザーサイ農家に転身した。 試行錯誤しながら寒さに強いザーサイを栽培してきた。今では国内のザーサイ栽培のパイオニア的な存在だ。栽培に適した土地を求めて全国を回っていた2017年11月、60歳のときに館山に移住した。
中西さんによると、館山は温暖な気候で露地栽培ができるため、生産コストが抑えられる。その上、土地が広く肥沃(ひよく)で連作障害が出にくいため、ザーサイの栽培には適しているという。また東京などの大都市に近く、鮮度の良い物が大消費地に届けられる利点もある。 ザーサイは、アブラナ科の野菜で、からし菜の変種。漬物は中国の代表的な食材として知られているが、野菜としての歴史は浅く、1930年ごろ、中国四川省で栽培が始まったとされる。日本では、一部の地域で栽培されているが、栽培方法は確立されていない。生産量も少なく、国産のザーサイは希少だという。 中西さんの作るザーサイは茎が“だるま”のように丸く、茎元が空洞にならないのが特徴。加工しやすいと業者からの評価も高く、昨シーズンは全国のサラダや漬物の加工業者などに20トンほどを出荷した。 今シーズンも自慢のザーサイを多くの人に届けるため、準備をしていた矢先に身体の不調に見舞われた。「これまでがむしゃらに働いてきたつけが回ってきたのかな。私も年だし、栽培技術などをできれば次世代につなぎ、残していければ」と思いを話す。 ボランティアの主な業務内容は、播種(はしゅ)機を使った豆まきや間引きなど。募集するのは10人程度で、月に1、2回程度でも歓迎。中西さんは「農業体験がてら一度来てみて。農業に関して教えられることは教える」と話している。 問い合わせは、中西慶次郎さん(080・5000・2753)へ。 (押本裕也)