まさかの闇堕ち…中村俊介” 加瀬“の衝撃の最期とは? ドラマ『オクラ~迷宮入り事件捜査~』第6話レビュー。黒幕は誰?
予想外の真犯人
焦点となるのは、持病の薬と毒をいつすり替えたかだ。事件当日、酔っぱらった老人が誤って旅館の配膳室に入り込んでいたことが明らかになる。女将によると、その老人はおそらくカツラで、手は30代のように若かった、と告げられる。変装で老人になりすましたこの人物こそが、副総理に毒を盛った張本人だった。 さらに、揮一の遺書の下書きが見つかる。そこには「全部高見刑事のせいだ」と記されており、公安部所属の高見大地(高杉亘)が捜査線上に浮上する。飛鷹は平常通り、犯行に使われた証拠の捏造を試みるが、ここでふと思いとどまる。 飛鷹は、ある違和感に気づき、高見と真犯人と思われる人物の指紋をすり替えることにした。しかし、オクラのメンバーが捜索中に見つけた証拠には、なぜか高見の指紋が付着していたのだ。 証拠のすり替えを行ったのは誰なのか? その犯人は、加勢だ。加勢はかつて、飛鷹と同じく強行犯係にいたが、不自然なタイミングで公安へ移動になる。それまでの加勢は警察内部にきな臭さを感じており、飛鷹と同じように“正義”を持っていた。 ところが、妻の明日香(芳野友美)が死亡したひき逃げ事件の捜査が突如打ち切られ、未解決事件になったことで歯車が狂い始める。
ヒール役を演じた加瀬の悲しい最期
加勢が“闇落ち”したのは、明日香を亡くした喪失感と、真相を隠蔽された無力感からなのだろう。明日香を轢いたのは揮一で、当時ひき逃げ事件を担当していたのは高見だった。だから加勢は高見に罪を着せようとしていたのだが、その復讐心を黒幕にうまく利用されたようにも思えてしまう。 飛鷹と別れた加勢は、黒幕とおぼしき人物に呼び出される。待ち合わせ場所に到着し、声のする方へ向かうと、そこには爆弾があった。爆発に巻き込まれた加勢は、瀕死の状態で「ドブになんか捨てなきゃよかったよ」と己の“正義”を手放したことを悔いる。 そんな死に際を見てしまうと、加勢は悪だったのではなく、ヒール役を演じていただけなのかも、と。なんとも無念漂うラストに、チクチクと心が痛んだ。 このシーンは、結城倫子(白石麻衣)の父・真一(平山祐介)が殺害された警察官連続殺人事件を想起させた。連続殺人事件の犯人と、警察内部を牛耳る人物は同じなのだろうか? 「HIDE&SEEK」のファイルが、何者かによってリアルタイムで更新されている点も気になる。何にせよ、飛鷹と不破が、“悲劇の人”加勢の敵を討ってくれることを願ってならない。 【著者プロフィール:西本沙織】 1992年生まれ、広島在住のライター。会社員として働くかたわら、Web媒体でエンタメに関するコラムやレビュー記事の執筆を行っている。ドラマや映画、マンガなどのエンタメが好き。
西本沙織