「国連への新たなレベルの攻撃」 イスラエル新法に安保理懸念
国連安全保障理事会は29日、パレスチナ自治区ガザ地区の情勢について公開会合を開いた。イスラエルの議会で、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の国内での活動を禁止する法案が可決したことをめぐり、米国を含む理事国が懸念を表明し、国際法違反を指摘する声も上がった。 【写真まとめ】イスラエルのレバノン空爆 死者数、内戦後最悪か パレスチナのマンスール国連大使は、新法はイスラエルによる「国連に対する新たなレベルの攻撃」だと非難。「ガザ市民が生き延びるための支援を行う能力を奪う」と述べ、UNRWAの活動継続に支持を訴えた。 イスラエルを支持してきた米国のトーマスグリーンフィールド国連大使も「ガザに人道支援物資を届けるため現時点ではUNRWAに代わる機関はない」と述べ、90日後に施行を控える新法がもたらす影響に「深い懸念」を表明した。 一方、イスラエルのダノン国連大使は、UNRWAはイスラム組織ハマスの「隠れみの」になっていると従来の主張を展開。「援助を必要とする人々には物資を届ける」と反論した。 イスラエルメディアによると、新法は占領地のパレスチナ自治区ガザ地区やヨルダン川西岸地区、東エルサレムとイスラエル国内でUNRWAの活動を禁じる。イスラエル政府関係者がUNRWAと接触することも禁止する。 国連のドゥジャリク報道官は29日、新法が施行された場合、UNRWAは部分的にでも占領地で活動を続けることは難しくなるとの見解を示した。グテレス事務総長は同日、新法への懸念を伝える書簡をイスラエルのネタニヤフ首相に送付した。【ニューヨーク八田浩輔】