ラグビー最強NZ代表が豪州撃破でW杯V3に死角なし。なぜ彼らは強いのか?
周囲からはワールドカップ3連覇を期待されるが、陣営はあくまで以後続く秋のツアーへの展望を語るのみだ。地に足をつけたようなその姿勢が、かえって目標達成への布石であるようにも映る。 2016年以降、オールブラックスは35勝4敗1引き分け。勝率は9割近くで、世界ランクは1位をキープしている。ワラビーズの今季勝率が5割未満であることに比べると、強さが際立つ。なぜここまで強いのか。 その理由は、Humbleness(ハンブルネス)という言葉で説明できるかもしれない。謙遜、質素を意味するこのフレーズが、オールブラックスの軸となっているからだ。 得意とされるアンストラクチャー(セットプレーを介さない攻防)からの攻撃、立ったまま球をつなぐオフロードパスの根底には、このHumblenessが息づいている。 殊勲のバレットは試合後に「毎試合、毎試合、どうしたらよくなっていくのかを課題にしています」と言った。これは、試合前に複数の選手が口にしていたことでもある。 それが行動となっていたシーンは、試合後にあった。 ちょうどウイングのリコ・イオアネがマン・オブ・ザ・マッチのインタビューを受けている後ろで、試合に出ていないメンバーや途中出場組が走り込みを行っていた。日本国内のチームでも全く見られないシーンではないが、何せワールドカップ開催地で宿敵に勝った直後のことだ。時と場合を鑑みれば、黒衣の勤勉さを感じずにはいられまい。 「どんな試合でも自分の力を出して戦うようにと言っています。どんなメンバーであれ、昨日よりもよくなりたいということを常に考えます。それは戦略面でも然りです」 いつも判で押したようにこう言うのは、指揮官のスティーブ・ハンセンヘッドコーチだ。裏を返せば、自分たちが集団としての力を出し切れば負けない、自分たちがもっともっと強くなれるという絶対的な自信が見え隠れする。もちろんこのおこないを徹底すべく、首脳陣はメンタルトレーニングや選手との個人面談を充実させている。