東京五輪1年延期は中断NBAの日本版ドリームチーム候補、八村塁、渡邊雄太らにどんな影響を与えるのか?
八村と渡邊を追う馬場もNBA挑戦について「最初は東京五輪が終わったあとと考えていたんですけど、この時期に来てすごい成功だと思っています」と日本でスター選手として存在していたプライドを捨て、韓信匍匐の精神でシーズン終盤に突入した今月はじめに話していた。 八村はNBA1年目のスタートから見せていた好調を維持。もちろん何度か壁にはぶつかったが、しっかり乗り越えて終盤を迎えた。 これらの選手が、さらに成長した形で2021年の東京五輪を迎える。つまり、故障さえなければ、選手としてより世界に通じる姿で五輪に臨むことになる。 1年延びたことで、3人がそれぞれアメリカで得たことを日本代表候補の仲間に伝授し、それに取り組めることも大きい。また日本代表自体も新星が出始め、ロスター入りの競争はますます激しくなっている。 焦点を今夏にあてていたため、もちろん気落ちはあるだろうが、八村がSNSで発信した言葉のように来年の五輪に向けて気持ちを新たにするだけだ。 今NBAでは練習施設も閉鎖され、チーム練習どころか選手個々の練習も困難な状態で、シーズン再開の目処も立っていない。1年延びたことが、あのまま強行で今年五輪を行うよりも良かったと思えるのは、その点だ。 たとえNBAの今季が無事再開にこぎつけたとしても、シーズン終了が7月以降になったとしたら代表を辞退せざるを得ないNBA選手が出てくる。逆にシーズンが打ち切りになれば、これまで練習がまともに出来なかった分、万全のコンディションで五輪に臨むことが出来ない選手も出てくるだろう。各国がベストの状態で挑み、世界トップを争える大会。そういうことを考えれば、バスケットにおいては、延期は好ましいと言える。 しかし、アメリカでプレーする3人にとって、それですべてが解決したわけではない。 NBAが、大きく予定が狂った今季の再開に向けてどのように調整していくかという問題が残っているからだ。これまで報じられた案には今季を8月まで行い、来季を2020年12月から始めるというものがあり、もしそのシナリオで例年通り公式戦82試合、7回戦制のプレーオフをファイナルまで戦うとすれば、来シーズンは2021年8月まで続くことになり、またもNBA選手の五輪出場が困難になってしまう。 そして何よりも、新型コロナ感染拡大が収まらなければ何も始まらないということ。練習、試合が出来ないという状態が、来年になってもまだ続くようなことはないと願うばかりだ。 (文責・山脇明子/米国在住スポーツライター)