専門家が「夢物語」と呼ぶテスラの人型ロボット計画
「全くのナンセンス」という声も
しかし、その実現には、ハードウェアとソフトウェアの両方で多くの技術的な課題があり、物をつかむなどのシンプルな動作にも課題が存在する。一方、シェフィールド大学のエイトケンは、現在の人工知能(AI)ブームがこの分野を前進させる上で大きな役割を果たすと述べている。「ロボットに1000種類の物体を拾わせる場合、それぞれの個別のプロセスをプログラムすることはできない」と彼は説明した。 ■「全くのナンセンス」という声も ロボット工学の専門家は、オプティマスが、将来的にテスラの他の製品を凌駕するというマスクの主張が近い将来実現するとは考えにくいとフォーブスに述べている。 ジョージア工科大学のガーグは、テスラやその競合のヒューマノイドロボットが、「近いうちにキャッシュフローをプラスにすることはない」と述べ、ヒューマノイドの能力は誇大に宣伝されており、「自動運転車のような説得力のあるユースケースが存在しない」と説明した。彼は、今後の10年でヒューマノイドが自動運転車に匹敵する収益を上げることは「まずない」と語った。 シェフィールド大学のエイトケンは、ヒューマノイドが「セクター内の大手プレーヤーの競合になるとは考えにくい」と述べ、これらのロボットが投資先になることを疑問視した。 フロリダ州立大学のフビッキは、「ヒューマノイドの市場が近い将来に、自動車産業に匹敵するものになるとは思わない」と述べた。彼は、これらのロボットが近年、大きく進歩したが説得力のあるユースケースが欠けており、現状では、「人間のほうがうまくやれるタスクを完了するための複雑なテクノロジー」に留まっていると指摘した。 GLJリサーチのアナリスト、ゴードン・ジョンソンは、マスクの主張が「馬鹿げている」と述べ、2025年末というオプティマスの販売開始目標を「全くのナンセンスであり、投資詐欺の一歩手前」と非難した。ジョンソンは、オプティマスが「夢物語の株価操作」であり、「製品は存在しない」と述べた。 ゴールドマンサックスのアナリストは、次の10年から15年でヒューマノイドロボットの世界の市場規模が60億ドル(約8809億円)に達すると予測している。分析会社のグローバルデータによると、より広範なロボティクス市場は、2030年までに2180億ドル(約32兆円)の価値になると予測されている。
Robert Hart