クリントン氏とトランプ氏が激突 今秋の大統領選で勝つのは?
戦後3回連続して同じ政党が勝った例は1度だけ
その一方、第2次世界大戦以降、同じ政党が3回連続して大統領選を制したのは1988年のみという事実が民主党には重くのしかかる。国民に「飽き」が生じ、現状への不満が募り、自ずと「変革」への期待が高まる。とりわけワシントンの既成政治や職業政治家への逆風が強い今回、クリントン氏の経験や実績が必ずしもプラスに作用しないことは、予備選における無名の民主社会主義者バーニー・サンダース氏の大健闘を見ても明らかだ。移民受け入れや自由貿易に反発する白人労働者が多いウィスコンシン州やオハイオ州、ミシガン州、ペンシルバニア州など中西部で苦戦する可能性も否定できない。 もちろん、選挙はこうしたファンダメンタルズだけで決まるわけではない。サンダース氏は「トランプ氏を利するような真似はしない」と、民主党の党内一致を重視する姿勢を崩していない。民主党内で人気の高いオバマ大統領はサンダース氏の健闘を讃えつつ、クリントン氏への支持を呼びかけるだろう。党内左派から人気の高いエリザベス・ウォーレン上院議員もクリントン氏への支持を表明すると目されている。しかし、サンダース氏はクリントン氏支持の条件として、自由貿易や格差是正などをめぐってクリントン氏のさらなる「左シフト」を要求してくる可能性が高い。党派対立が先鋭化し、無党派層の先細りが指摘されるなか、クリントン氏が「左固め」で勝利を狙うか、共和党の穏健派も含めた「右狙い」に打って出るか。その意味では、副大統領候補に誰を選ぶか注目される。 昨年末に45%だったオバマ大統領の支持率が今月1日には53%にまで回復していることはクリントン氏にとって朗報だ(政権譲渡に成功したロナルド・レーガン大統領の1988年同時期の支持率は50%)。しかし、例えば、先行き不安を抱える米経済が落ち込めば、「ヒラリー=オバマ政権の3期目」という共和党による批判が説得力を持ち始める。 加えて、クリントン氏は「過去の人」「夢を語れない」「不誠実」「権力の猛者」「人間味がない」といった否定的なイメージを全く払拭できずにいる。もちろん、健康問題やメール問題も不安要因だ。