理由は啓発!?マイクケーブル8の字巻きコンテストの裏側
<街ぶら>理由は啓発?マイクケーブル8の字巻きコンテストに潜入 THE PAGE大阪
たかが8の字、されど8の字──。音響技術者のマイクケーブル巻き技術の向上を図るため日本音響家協会による「第2回全日本マイクケーブル8の字巻きコンテスト西日本地区大会(予選)」が今年5月に大阪市中央区の中央区民センターで開かれた。この大会は北海道・中部などでも予選が行われ、各大会の出場者は7月9日に千葉県の幕張メッセで行われる全国大会に出場するという本格的な大会だ。同協会副会長の深尾康史さんは「ケーブルを早く巻いて、次に使う人が使いやすいように『8の字形』に巻くのがコツです。そうした技術向上を目指し、大会を開いているんです」と話す。
単に速さや芸術を競うだけじゃない
この競技は、U字に配線された全長20メートルのマイクケーブル3本を競技者が巻き、ゴムバンドで結ぶもので、1回2人で競技を行うもの。巻く早さもポイントとなるが、採点は「確実さ・美しさ・作業姿」も対象になるという。北海道、中部、北陸、西日本、東日本という全国各地で予選が行われ、それぞれの覇者が7月に千葉県の幕張メッセで行われる全国大会に出場し、賞金も出るというから本格的な大会だ。 「これは単に速さや芸術を競うだけじゃないんです」と語るのは、同協会副会長の深尾さん。出場者には、放送局に勤務する業界人も多いですが、バンド活動などを行う学生も多いという。 だが、なぜこのような「巻く競技」を行うのか。深尾さんはその理由を「啓発」と語る。マイクケーブルはデジタルの時代でも絶対に必要なもの。それが巻き方などで例えばマイク30本の巻き方にトラブルがあり直すのに1本1分かかれば、30分ものロスが生じる。「次の人のためにきれいに巻いてきれいに伸ばせるようにしておくとロスタイムがなくなって仕事がスムーズになる。これは音響屋の基本なんですわ。それを競いながら『啓発』したい」と深尾さんは力強く話した。
ストップウォッチ映像にスピード感あるBGM
正直、普通ではあまり目にしないこの大会や競技。在阪のラジオ局で音響などを担当するという出場者の柏野予理子さんは、たまたま見かけた大会のサイトを見て出場を決めたという。 「めっちゃ練習してきた」と言いながら大会直前でも巻き方を何度も確認する。その理由を聞くと「今回は大会の指定に『ケーブルをゴムでとめる』とあって、ふだんの仕事ではゴムでとめないんで特訓中」と話す。 巻き方もその時わかるとのことで、不得意な部分を克服しようと、何度も床にケーブルを伸ばしては巻く練習を繰り返していた。 そして、本番の時がやってきた。音響関係の仕事やバンドなどを組む学生さんら約20人ほどが参加。スピード感のあるBGMが大音量でかかり、会場には巨大なストップウォッチの映像が映し出され、緊張感が増す。