理由は啓発!?マイクケーブル8の字巻きコンテストの裏側
たかが8の字、されど8の字。7月に全国大会
いよいよ柏野さんの出番がやってきた。開始の合図とともに一生懸命長いケーブルを、歩きながら8の字に巻いていく。一方で、対戦相手の男性は、その場を動かず手でケーブルを手繰り寄せながら、きれいに8の字巻きをこなす。 時間が刻々とすぎていく中、落ち着いて巻きにかかる柏野さん。そして、克服しようと努めていた「ゴムどめ」も、きっちりこなし、次々とケーブルを巻きにかかった。 束ねられたケーブルは、即座に大手テレビ局などで長年活躍してきた大先輩にあたる審査員らが、かがんだりしながらペン片手に厳しくチェック。出場者の中にはやりきった感を表す人、時計を見てちょっと悔しそうな人、充実感たっぷりの笑みを浮かべる人など、様々な表情を見ることができた。 先の柏野さんは終わった直後「むずかしかった~」「緊張した~」と言いながらも、どこか安堵の表情。結果、優勝こそ逃したが、芸術点数は上位だったという。その後は、自ら優勝者にインタビューし、翌日には担当する番組でその様子を放送するというプロ根性も見せていた。 大会が始まる前、ある審査員があいさつで「たかが8の字、されど8の字」と言い、会場のだれもがうなずく光景が見られた。それは、どれだけその「8の字」が、音響屋にとっては当たり前かつ重要であるかを物語っているようにも見えた。 7月9日には、千葉県の幕張メッセで全国大会を実施。各地でこうした予選を勝ち抜いた「8の字のツワモノ」が、あの広々とした会場で、どのようなケーブルさばきを展開してくれるのか注目したいところだ。