手足の先が冷えて眠れない、肩こり、頭痛、疲れがとれない…血流が原因かも。重大な疾患になるまえに対策を
手足の先が冷たくて眠れない、疲れが取れにくい、肩こりや頭痛がする……。寒さとともに、こうした不調に悩まされていませんか?それは血流が滞っているサインかもしれません。冷えと血流の関係を知って、体をポカポカにしましょう(イラスト/小林マキ 取材・文・構成/岩田正恵《インパクト》 デザイン/米山和子《プッシュ》) * * * * * * * ◆温めるだけでは改善しない「冷え」 成人女性の多くが抱える冷えの悩み。カイロを当てたり、厚手の靴下をいたりしてもなかなか改善しない、という声をよく聞きます。 「冷えている部分だけを温めても根本的な解決にはなりません。そもそも、体内で生み出された熱は動脈、毛細血管、静脈を通って全身に行き渡るのですが、どこかが詰まったり滞ったりすると、全身にうまく行き渡らず、冷えが生じます」と話すのは、長年、動脈硬化の研究に携わり、血管・血流ケアに詳しい東京アスボクリニック名誉理事長の板倉弘重先生です。 血流が滞るのは、血管が老化して硬くなるのが要因の一つといいます。 「動脈はポンプのような役割があり、ふくらんだり縮んだりして血液を押し出していますが、硬くなって弾力が失われると、ポンプの勢いが衰え、血液が流れにくくなるのです。糖尿病などの高血糖も悪影響を及ぼします。血液中のブドウ糖の濃度が上がると、いわゆる“血液がベトベトの状態”になり、流れが悪くなるのです」(板倉先生。以下同)
◆血流改善に取り組みましょう また、毛細血管の老化や減少も血流を悪化させる要因、と板倉先生。 「毛細血管は血管の約95%を占めており、骨や筋肉、臓器のすみずみまで張りめぐらされています。毛細血管は、血液が流れ続けることでみずみずしい状態を保てるのですが、極細のため、詰まったり切れたりしやすい。そのうえ、加齢や運動不足により血流が滞ると、組織がボロボロになり消えてなくなってしまうのです。これを血管の“ゴースト化”といいます」 血管の老化やゴースト化が進むと、重大な疾患につながる恐れも。 「動脈硬化、糖尿病、高血圧のほか、認知機能の低下や心筋梗塞にもつながります。冷えを感じたら、できるだけ早く血流改善に取り組むようにしたいですね」
板倉弘重