【陸上】【ADIZERO ROAD TO RECORDS追跡】メジャーマラソンを席巻!「ADIZERO ADIOS PRO EVO -1」開発秘話「アイデアの原点はF1マシーン」
そして、「EVO -1」最大の特徴が「ロッカー構造」にある。アディダス社が持つテクノロジーの粋を極めて生み出された、理想の「ランニングエコノミー」を導き出すために設計されたシューズのソールが前足部に向かって湾曲 する“パワーポイント”に独自の設計がある。。 アディダスと契約するトップランナーたち、特に参考にされたのが女性ランナーのフォームのデータを徹底的に検証。地面にもっとも力を伝えられるポイント、シューズ上の『パワーポイント』が「踵側か65%の位置」(パトリック氏)と判断した。 具体的には拇趾球の少し踵よりの位置。これはフラットからフォアフットに接地するタイプの選手が、地面に接地してプッシュする瞬間のポイントと合致する。ランニングフォームにおけるパワーポジションの姿勢になる瞬間に、シューズも同じパワーポジションとなり、選手が地面をプッシュする力をより一層高めることにつながるのだ。 さらに、そのポジションからつま先にかけて反り上がるような形状が「エコノミー」を生む。プッシュした瞬間から、つま先にかけて前に転がるような接地が自然と生み出されることで、力の方向が前へと向かう。これが、接地で生み出された力をより前方向へとつなげることとなり、1歩1歩の推進力へと直結するのだ。 ただ、ここまで述べた機能を鑑みると、1歩1歩のストライドが伸びるようなイメージになる。だが、このシューズの狙いは違うという。 「パワーポイントをこの位置に定めたことで、脚の回転(ピッチ)を高めることができます」 スピードは「ストライド×ピッチ」で生み出され、いかに両方をバランス良く高めるかが重要だ。高反発シューズの誕生でストライドを伸ばすことは、以前よりも確実に実現できているだろう。だが、それを42.195kmという距離をキープし続けることは、簡単なことではない。 一方で、ストライドを伸ばしつつ、ピッチを楽にキープできる状態を作ることができれば、1歩1歩が「最小限のエネルギー」で済む。それは「ランニングエコノミー」における理想と言え、「最小限のエネルギーを使用して一定の速度で走ることができれば、レース後半でより速く走ることができます」とパトリック氏は言う。 ただ、ベルリンにおっけるアセファの激走は、「私たちの想像を超えたものではありましたが」と笑いつつ、「このシューズを世界の舞台で紹介するには、これ以上ない方法でした」。 ドイツ中部、古城の城郭を中心とした歴史あふれる街ニュルンベルク郊外にあるヘルツォーゲンアウラッハに、アディダス社は本社を構える。そこでは創業者アドルフ・ダスラー氏の「すべてはアスリートのために」という理念を引き継ぐ社員たちが、その情熱を傾けてそれぞれの仕事に従事している。 そして、最新のテクノロジーと、アスリートたちのさまざまなデータと感覚のフィードバックを駆使して開発されるギアの数々は、まだまだ世界を驚かせるに違いない。
小川雅生/月陸編集部
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