シャヒン、コンパニ、シュスター、X・アロンソ ブンデスリーガに集まる青年指揮官たちの挑戦
さらにステップアップする指揮官が出てくる可能性
今季のドイツ・ブンデスリーガで注目したいポイントの1つに、『若手指揮官たちの挑戦』が挙げられる。ブンデスリーガでは若手選手も積極的に起用されてきたが、若いのは選手だけではない。 まずは今季よりドルトムントの指揮官に就任したヌリ・シャヒンだ。クラブOBのシャヒンはまだ35歳。トルコのアンタルヤスポルでも指揮官の経験はあるが、まだまだ指導者としての経験は浅い。ブンデスリーガ公式はシャヒンがハーバード・ビジネス・スクールでスポーツマネジメントのコースを修了している点に注目しているが、ドルトムントにとってはリスクもある決断と言える。 ブレーメンを指揮するオーレ・ヴェルナーも36歳と若い。ヴェルナーは2021年11月よりチームを指揮しており、当時ブレーメンはブンデスリーガ2部にいた。そこからクラブを1部へ導き、昨季は見事に残留。 選手としてのキャリアは短かったが、ヴェルナーは2014年よりホルシュタイン・キールのユースコーチから指導者キャリアをスタート。そこからキールでアシスタントコーチや監督など経験を積み、監督キャリア開始から8年をかけてブンデスリーガ1部の舞台へとたどり着いた。ブレーメンでの仕事ぶりも評価されており、今季の結果次第ではさらなるステップアップもあり得る。 若手指揮官の中でも読めない存在となるのが、38歳でバイエルンの指揮官に就任したヴァンサン・コンパニだ。ベルギーのアンデルレヒト、イングランドのバーンリーで指揮官を務めてきたが、ドイツ最大の名門であるバイエルンは環境がまるで異なる。求められるものも超ハイレベルで、コンパニがビッグクラブの期待に応えられるかは未知数な部分が多い。王座奪還を目指すバイエルンをコンパニがどうまとめるのか。これが今季のブンデスリーガの行方を大きく左右することになるのは間違いない。 そして40歳未満のラストとなるのがフライブルクを指揮するユリアン・シュスター(39)だ。選手としてフライブルクで10年間戦ってきたシュスターは、2018年に現役を引退。そこからクラブのU-19カテゴリーなどで経験を積み、今季よりトップチームの指揮官を任された。 フライブルクといえば、2011-12シーズンから昨季までクリスティアン・シュトライヒが指揮を執ってきた。現代では珍しいほどの長期政権だったわけだが、後任を任されたシュスターもクラブの伝統を知る人物だ。同サイトはクラブ側が長期政権を望んでいると伝えており、シュスターに関しては長い目で評価されることになるか。 そして昨季特大のインパクトを残したシュツットガルトのセバスティアン・ヘーネス(42)、レヴァークーゼンのシャビ・アロンソ(42)だ。昨季のブンデスリーガで1位&2位フィニッシュを果たした両チームで、指揮官も42歳と若い。 昨季ブンデスリーガ無敗優勝を達成したレヴァークーゼンを指揮するシャビ・アロンソに関しては、もう説明不要なレベルだろう。現在のサッカー界で最も評価されている青年指揮官と言っていいはずで、レヴァークーゼンに植え付けた攻撃的なサッカーは見事と言うしかない。今季も3バックをベースに選手が次々と前線へ顔を出す攻撃的なスタイルに変わりはなく、今季はチャンピオンズリーグの方での指揮にも注目が集まる。 シュツットガルトを指揮するヘーネスの場合は、今夏の主力流出に対応する難しいシーズンとなるだろう。昨季のブレイクから、FWセール・ギラシ、DF伊藤洋輝といった主力組をライバルクラブに引き抜かれている。今季もトップ4に入るのは至難の業と言えそうだが、この状況にヘーネスがどう対応するか注目される。 ブンデスリーガ公式は、ユリアン・ナーゲルスマンのようにステップアップする青年指揮官が出てくるかもと期待をかけている。フレッシュな若き指揮官たちの挑戦にも注目が集まる。
構成/ザ・ワールド編集部