プロ野球の大御所は政府の対策方針の遅れと揺れに疑念…新型コロナ波紋でプロスポーツ界が直面する危機とは?
新型コロナウイルスの拡大がスポーツ界にも大打撃を与えることになった。Jリーグが前日に早々と3月15日までのJ1、J2など全94試合の延期を決定したが、この日、政府の大規模イベントに関する対策指針が1日にして「全国一律の自粛要請を行うものでない」から「要請する」に変更したことを受け、続々とプロスポーツ界に動きが出た。 プロ野球は、今後予定されていたオープン戦の全72試合を無観客で実施することを決定、プロバスケットのBリーグも28日から3月11日までのB1、B2の全99試合での延期を発表、ラグビーのトップリーグも2節16試合の延期を決めた。 バレーボールのVリーグ男子のファイナルステージの決勝は29日に群馬・高崎アリーナで無観客試合で実施され、卓球界も3月14日に両国で行われる予定だったTリーグのプレーオフファイナルを延期した。 またプロボクシングも統括する日本ボクシングコミッション(JBC)と興行主サイドの日本プロボクシング協会が28日から3月末までの試合の中止、延期を各興行主に要請することを発表した。さらに女子ゴルフの開幕戦、3月5日から沖縄で行われる「ダイキンオーキッドレディス」は無観客で実施され、渋野日向子が今季の開幕戦として予定している「明治安田生命レディスヨコハマタイヤゴルフ」(3月13日から15日、高知・土佐)の開催も無観客か中止かで検討されている。 まだ正式な動向が決まっていない、残る大きなイベントは、3月8日に初日を迎える大相撲大阪場所と、3月19日から甲子園で開幕するセンバツ高校野球の2つ。大相撲は、3月1日に臨時理事会を開き「中止か、無観客開催か」の最終決断を下す。センバツは3月4日の大会運営委員会で対策が議論される。 NPBの斉藤惇コミッショナーもBリーグの大河正明チェアマンも「苦渋の決断」と声を揃えた。”国難”にもなりかねない非常事態の中、国民の健康と安全を守るには当然の対策だろう。だが、ここまでの経緯に問題はあった。 プロ野球界の大御所、元ヤクルト、西武監督の広岡達朗氏が問題提起するのは、政府の対応の悪さだ。 「プロ野球オープン戦の無観客がいいのか悪いのか。このまま新型コロナウイルスの拡大が収束しなければ、3月20日の開幕戦も延期すべきなのか。私にはいいも悪いも言えない。ただ問題はなぜ政府の対策基本指針の発表にこんなに時間がかかり、しかもイベントに関する方針も1日で一転したのか。その根拠がまったくハッキリせず、すべてが、中途半端。もっと早急に対策指針を打ち出していれば、スポーツ界も踏ん切りはついたと思う。オープン戦での興行収入がなくなるのは痛いだろうが、開幕が目の前に迫っているだけに、各球団は、それどころではないのかもしれない。ファンは、プロ野球の開幕を楽しみにしているのだ。一日も早くこの非常事態を収束させ、楽しみに待っているファンを喜ばせて欲しい」