人口減の小豆島は「日本の縮図」 自動運転バスやAIボート…社会問題解決へ大型実証実験
瀬戸内海に浮かぶ香川県最大の離島・小豆島で最新テクノロジーの力を借りて高齢化や人手不足などの社会的諸課題の解決を目指すプロジェクトが進められている。大手旅行会社のJTBと島内2町(小豆島、土庄(とのしょう))、ITベンチャー、地元交通事業者らが連携し、自動運転バスやAI(人工知能)自動運転ボートの実証実験を実施。全国の各地域が将来直面する課題が一足早く顕在化している小豆島を「日本の縮図」と捉え、解決策を模索する挑戦的な取り組みに注目が集まっている。 【写真】小豆島の航行実証実験に使われたAI自動運転ボート ■観光公害に懸念も JTBはインバウンド(訪日客)が増え続ける中、令和12年には4回以上訪日するリピーターが約56%となり地方への分散も進むとみる一方、地方でのオーバーツーリズム(観光公害)や人材不足に懸念を強めている。 とりわけ小豆島がある瀬戸内は「行くべき旅行先」として世界的に注目を浴びているエリア。温暖な気候で、寒霞渓やエンジェルロードといった景勝地を抱える。小豆島町が「世界の持続可能な観光地TOP100選」に選定されたこともある。 一方、島の人口は少子高齢化や過疎化に伴い、昭和22年の6万2664人をピークに減り続け、令和5年には約2万5千人に落ち込んでいる。 島の主要産業でもある観光も大きな課題を抱える。「離島なのに来島者の約6~7割が島に宿泊せず、経済効果は限定的だ」と話すのは、JTBエリア開発チームマネージャーの高島達朗さん。2次交通の脆弱(ぜいじゃく)性や宿泊施設のキャパシティー不足と老朽化、飲食店不足が影響しているという。 プロジェクトはこれらの課題解決を図るのが目的だ。今年8月には省人化につながるIot(モノのインターネット)機器を搭載したシェアサイクル160台を導入し、サイクルポートも拡充。9月に自動運転対応のEVバスの運行実験、11月にはAI自動運転ボートの運航試験を各1週間前後実施した。 将来的には、島々を横断的に結ぶアイランドホッピングや空路を活用した関西方面からの誘客など、複合的、段階的に投資を進め、「さまざまな社会課題を、あらゆるテクノロジーの力で解決する」とのプランを描く。