いろいろな種類があるお墓や供養の特徴を整理し、実家のお墓を決める
どのお墓の種類を選択するのか
実家で「どんなお墓が良いのか」を話し合ったところ、「やっぱり普通のお墓がいい」という希望が強く、宗教法人や民間企業が運営する民営墓地に一般的なお墓を建てる方向で考えることになりました。
お墓参りに行く手段で人気なのは?
公益社団法人全日本墓園協会による「我が国における公営墓園実態調査」によると、墓地までの交通手段で最も多いのは「徒歩」となっています。最初に紹介した墓地の経営形態において、その土地や一族に関係する人のための「みなし墓地(個人墓地)」が最も多いことと関係しているのかもしれません。しかし、わが家の場合、実家の本家が墓じまいしてしまい、実家のすぐ近くに候補となるようなお墓はありません。 なお、同調査によると、墓地までの交通手段は以下のとおりとなっています。 【墓地までの交通手段】 徒歩:365人 タクシー:216人 バスと徒歩:163人 不明:162人 その他車で:80人 バス:56人 バスとタクシー: 1人 (出典:公益社団法人全日本墓園協会「我が国における公営墓園実態調査」p.83) 以前から候補になっているお墓は、父の亡姉のお墓がここにあることが候補とした理由です。亡姉の長男の家は実家からすぐ近くなのですが、お墓を検討している話を亡姉の長男の嫁にしたところ「もし同じ墓地にお墓を建てるなら、2kmの距離は私が車で送迎する」と言ってくれました。お墓参りに行く交通手段が解決したことで、この方向で話を進めることになりました。
お墓問題は解決したように見えるけれど……
実家のお墓の問題はこれで解決したように見えます。父母はこれで良いのでしょうが、私自身はまだ悩んでいます。伝統的なスタイルのお墓は一世代や二世代のものではなく、ずっと続くものだからです。 私の妹は嫁いでいますので、実家のお墓は長男の私が引き継ぐことになります。私には妻と長女、それから二女がいますが、娘たちがこのお墓を引き継ぐかどうかわかりません。娘が結婚した場合には「両家墓」になるのか、独身の場合は永代供養墓で合祀されるのか。そもそも、実家も検討中のお墓もわが家からは距離のある他県なので、お墓参り自体が容易ではありません。 こうしたことを考え始めると、「実家のお墓は建てず、私が自宅近くにお墓を購入して、将来は父母と一緒に入る」という選択肢が合理的なようにも感じています。ただ、そうすると父母のどちらかが亡くなったときに、遺骨は自宅保管するのか、という問題が残ります。 ただし、あまり先のことを考えても仕方ないので、父母の気の済むように実家の近くにお墓を建て、将来の家族の状況によって墓じまいして私が購入するお墓に移るか、それとも別の方法があるのか、娘たちとあらためて考えるのも良いのではないかと思っています。 ご家族によってご先祖の背景や地域の慣習、あるいは生活の事情も異なりますので、お墓に対する考え方も異なると思います。私の実家の事例がご参考になれば幸いです。 ◇ 齋藤 弘道(さいとう・ひろみち) 遺贈寄附推進機構 代表取締役、全国レガシーギフト協会 理事 信託銀行にて1500件以上の相続トラブルと1万件以上の遺言の受託審査に対応。遺贈寄付の希望者の意思が実現されない課題を解決するため、2014年に弁護士・税理士らとともに勉強会を立ち上げた(後の「全国レガシーギフト協会」)。2018年に遺贈寄附推進機構株式会社を設立。日本初の「遺言代用信託による寄付」を金融機関と共同開発。