観客動員数は? 選手育成は? 岩村&多田野も参加するプロ野球独立リーグの現在とは
育成では四国リーグに遅れをとっているBCリーグだが、集客では近年回復傾向にある。2012年には過去最低となる16万7157人まで減少していたが、2014年は前年より約2割増となり3年ぶりに20万人台を回復した。チーム別(表4)では群馬、石川の伸びが目立っている。この2チームに共通する要素が「元NPBの大物」の加入だ。群馬には2014年にアレックス・ラミレス(元巨人)を獲得、その集客力は抜群で1試合平均の観客数は約400人も増加、今シーズンもGMとして残留することになった。 ただ昨シーズン終盤にはその集客力に陰りが見え始めていた。一時的な人気で終わらないためにも今年は重要なシーズンになる。石川は2013年の木田優夫(元日本ハム)獲得で観客数がアップ。木田は2014年には選手兼任のGMに就任し、営業面にも奔走、リーグ最下位クラスだった動員力を大きく向上させた。その手腕もあって今季は日本ハムのGM補佐に就任している。この2チームの成功もあってかこのシーズンオフには各チームが元NPB選手の獲得に力を入れ始めた。新規参入の福島は選手兼任監督として岩村明憲(元ヤクルト)を獲得、さらに真田裕貴(元ヤクルト)村田和哉(元日本ハム)も選手兼任コーチに就任している。信濃は高橋信二(元オリックス)、木田の去った石川は元メジャーリーガーでもある多田野数人(元日本ハム)を獲得した。また元NPB選手に限らず話題性豊富な選手が目立つのも特徴で、群馬はラミレスの甥であるヨンデル・ラミレスをドラフトで指名、新潟は同じくドラフトで桑田真澄の息子である桑田真樹を獲得した。石川には「ナックル姫」として知られる吉田えりも2014年シーズンから加わっている。四国リーグと比較(表5)しても元NPB選手の在籍率が多いことが一目瞭然だ。
特色を出し始めた両リーグ
育成で結果を出した四国リーグ、集客を回復させつつあるBCリーグ、2つの独立リーグはそれぞれの特色を生かす方向で今後の発展を目指している。四国リーグが今シーズンから行う北米遠征は、選手の育成が最大の目的というリーグの理念に基づくもの。プロを目指して野球を続けたい選手たちのための場をつくる、というリーグ設立時の大きな目標から方向性がぶれずに進んでいる印象だ。NPBを目指すなら四国リーグ、という存在になる日がくればそれがリーグの成功といえるのではないだろうか。 一方のBCリーグも、もちろんNPBを目指す選手たちが野球を続ける場ではある。しかし群馬や石川の成功は、BCリーグがNPBをリタイアした選手やNPB復帰を目指す選手たちの受け皿にもなり得る可能性を示しているのではないだろうか。ラミレスや岩村といった大物選手の参加が大きな集客力を持つことが証明されれば、プロ野球選手がセカンドキャリアを過ごす場として確固たる地位を築けるだろう。NPBのチームがない地域で、地元に密着した「もう一つのプロ野球リーグ」という存在に進化していけるのか、日本野球界の発展のためにも奮闘を期待したい。 (株)日刊編集センター