常連組が消えたハリルJでなぜ本田圭佑は生き残ったのか?
移籍市場が開いていた今年1月に、ミラノで本田と面談。移籍してプレー環境を変えるのもひとつの手段なのではないか、とアドバイスを送ったハリルホジッチ監督だが、日々の練習から一切の妥協を許さない本田の姿勢には全幅の信頼を寄せていた。 「どの選手であっても、プレーできる準備を整えていなければ絶対に招集しない。試合に出ていない選手たちはプラスアルファのトレーニングをして準備しているし、代表への意欲も持ち続けているので、必要だと思う選手は呼びたい」 だからといって、以前のように無条件で本田にポジションは用意されない。成長著しい久保への挑戦者となり、ザルツブルクでゴールを量産中の南野拓実や巻き返しを期す小林、J1の得点ランクを独走する興梠慎三(浦和レッズ)、指揮官が就任直後から注目している杉本健勇(セレッソ)らに背中を追われる。 さまざまなプレッシャーが絡み合う状況で、それでも久々に得たミランでのプレー機会で決めたファインゴールに、記者会見を終えて会場を出たハリルホジッチ監督は再び声を弾ませている。 「メンタルの強さが違いを生み出す」 中立地・テヘランで開催されるイラク戦だが、会場となるPASスタジアムの芝生の状態が悪く、日本サッカー協会は改善を要求している。過去を振り返っても、W杯アジア最終予選は何が起こるかわからない。 求められるのは、不測の事態に直面しても絶対に動じない心の強さ。数々の修羅場をくぐり抜けてきた本田の存在を、ロシアの地を目指すうえでの羅針盤にしたいと、指揮官は考えているのかもしれない。 (文責・藤江直人/スポーツライター)