暗号資産トレーダーがAIボットに勝つ可能性は?
ボットは本当に市場に勝てるか
元人工知能(AI)研究者で現在はアンドリーセン・ホロウィッツ(Andreessen Horowitz)の暗号資産投資家であるアリ・ヤヒヤ(Ali Yahya)氏が説明するように、今日の AI は結論に到達するために、ある種の面倒な帰納的推論に依存している。つまり、膨大な量のデータを消費して、それらの間のつながりを描く。提示された問題に対して、AI は作成したつながりの「キルト」を当てはめて応答し、答えを生成できる。 対照的に、人間は創造的な探究を行うことができる。仮説を立てて実験を行い、それが間違っていることを証明し、その結果を基に一般的な理論を作成する。この理論は演繹的であり、さまざまなシナリオに適用でき、論理的に正しいものだ。 ロングテールの主題に関しては、この推論モードの違いが AIを最も残酷な目に合わせる。この場合、AI モデルが接続の「キルト」を縫うために必要なデータは不足している。つまり、キルトは擦り切れてしまい、モデルは問題に対して不適切な応答を吐き出す。今日の AI モデルは「観察する現象の混沌と複雑さを(人間のように説明するのではなく)反映している」と同氏は述べる。 したがって、AI ボットは将来の状況を予測する理論を作成できず、特定のシナリオを説明することはできない。AI ボットは、過去の何百万もの例から、すでに起こったことを反映することしかできないのだ。AI ボットは非常に速く動くため、人間はスピードでは勝てないものの、多くの場合、遅い方の分析的なアプローチが勝利する。
新しいプラットフォームで目指す世界
それにもかかわらず、トレーディング・ボットの人気は高まっている。とはいえ、徹底した人間中心のアプローチで、AI ボットに対抗できる可能性がある。我々は、人間のトレーダーがチェーン上で検証可能な方法で予測を投稿し、他の人がそれを相互チェックし、希望する場合はそのトレーダーの将来の予測に従うことができるようにしたいと考えいる。その際、検証可能性が鍵となる。疑わしいインフルエンサーが個人的な利益のためにフォロワーを惑わすという話は誰もが知るところだ。 そこで SanR の出番となるのだ。トレーダーはこのプラットフォームを用いて、特定のトークンが特定の価格で上昇するか、下落するかを示すことができる。これらの予測はチェーン上でNFT(非代替性トークン)として記録されるため、予測が不正確であることが判明しても後日偽造することはできない。トレーダーが予測を行うと、正確な予測と不正確な予測の数が積み重なり、それぞれの割合が明らかになる。他のユーザーは、データが改ざんされていないことを確信しながら、各トレーダーの予測力を評価するためにこのデータを確認できる。 あなたが優れた予測力を持つトレーダーである場合、なぜそれを他の人と共有するというのだろうか。確かに、多くの人はその選択を否とするが、しかしそれ以外に、おそらく取引を始めたばかりの方や、市場調査が好きな方は是とするだろう。SanR は、誰もが透明性のある方法でシグナルを公開できるパーミッションレスなプラットフォームである。 このようにして、私たちは市場シグナルを互いに共有する人間のネットワークを作成し、インセンティブを調整しながら、パーミッションレスにこれらのシグナルを公開できるようにした。何より素晴らしいのは、これらの予測はすべてオンチェーンであり、いつでも確認でき、事後に変更できないことだ。 オンチェーンの評判に説明責任。これによって、人力ツールがトレーダーに対してボットや市場までもを打ち負かすために最善なチャンスを与えるのである。 |翻訳・編集:T.Minamoto|画像:Shutterstock|原文:Beating the Bots: In Defense of Human Traders
CoinDesk Japan 編集部