【解説】イギリス・最大のえん罪…「富士通」の責任は? 訴追された郵便局長らは700人超 テレビドラマで国民知るきっかけに【#みんなのギモン】
■「テレビドラマ」がきっかけ、問題広く知られるように…
この会計システムを納入したのは富士通のイギリス子会社だったのですが、2019年にイギリスの裁判所は、会計システムに欠陥があったことを認めました。 有罪判決の取り消しが進んでいますが、ミスラさんは現在も有罪を覆すために闘っているのです。 2000年代の初めから起きていたこの問題を、イギリス国民が広く知るきっかけとなったのは、今年の元日から放送された、あるテレビドラマでした。 ◇ ドラマ『ミスター・ベイツ vs ポストオフィス』(ITVX) 「損失の責任はあなたにある」 「私は盗(と)ってないわ。お金はどこに消えたの?」 「郵便局の信用がかかっている 人の命にも関わるのよ」 「ようやく僕ら555人の話を聞いてもらえる時がきた」 ◇ 郵便局長たちがえん罪と闘う姿を描いたドラマが放送されると、イギリス国民の怒りが一気に広がって、政界をも動かす事態になっているのです。 そこで、続いてのポイント「富士通の責任は?」、「補償はどうなるのか?」についてみていきます。
■富士通は「いつ」欠陥に気づいていたのか?
今後、注目されるのは、郵便会社やシステムを作った富士通が、いつ、どの時点で欠陥に気づいていたのかということです。 1999年に「ホライゾン」のシステムは導入されましたが、実は2009年の段階でホライゾンのシステムに欠陥があるという指摘が出ていました。しかし、「国営の郵便会社」は繰り返しこの欠陥を否定していたのです。 では、富士通は、いつ、欠陥に気づいたのでしょうか? BBCに答えたホライゾンの関係者の1人は、1990年代の後半からシステムの開発に関わっていたといいますが、「うまく動くときもあったが、多くの時は作動しなかった」と言っているのです。そして、ホライゾンの導入を早まったのではないかと、振り返っています。 冒頭で紹介した富士通のヨーロッパのトップ(欧州地域責任者)、ポール・パターソン氏も、「当初から、バグやエラーがあった」と認めているのです。