【解説】イギリス・最大のえん罪…「富士通」の責任は? 訴追された郵便局長らは700人超 テレビドラマで国民知るきっかけに【#みんなのギモン】
18日の#みんなのギモンは「イギリス最大のえん罪…富士通は?」がテーマです。次の2つのポイントを中心、日本テレビの小林史解説委員が詳しく解説します。 ●ドラマきっかけ…怒りが爆発 ●富士通の責任は?補償は?
■郵便局の会計システムめぐる、えん罪事件とは…「富士通」が議会で謝罪
いま、イギリスで連日トップニュースとなり、国民の多くが怒りの声をあげている事件があります。 郵便局の会計システムをめぐるえん罪事件なのですが、そのシステムに日本企業の「富士通」が関わっていたとして、議会で初めて謝罪する事態となっています。 富士通・欧州地域責任者 ポール・パターソン執行役員(16日・ロンドン) 「富士通が、このように誤った判決を招く一因となったことをお詫(わ)びしたい。我々は、当初からこの件に関わっていました。システムにバグやエラーがあり、郵便局長らの起訴を招いてしまいました」
そして、富士通の時田隆仁社長も、イギリスの公共放送BBCのインタビューに「非常に深刻に受け止めている。郵便局長やその家族の人生に壊滅的な影響を与えたことをおわびする」などとコメントしています。 時田社長が、公の場で今回の事件についてコメントするのは初めてだということです。
■イギリス“史上最大”のえん罪…郵便局長らが被害者 収監、破産、自殺も…
まずは、この事件でイギリス国民が怒っている理由からみていきます。 スナク首相も「イギリスの歴史の中で最大のえん罪の1つだ」と述べている、この事件の被害者は「郵便局長ら」です。 横領や詐欺の疑いで訴追された人が700人あまりにものぼっていて、収監されたり破産したり、なかには自殺をした人もいるということです。
■“どんな罪”が郵便局長らに?
では、どんな罪をかぶせられたのか? 問題となったのは、1999年にイギリスの郵便局に導入された「ホライゾン」という会計システムです。 このシステムが導入されると、システム上に表示されたお金の残高と、窓口に実際に残っている現金が合わない、現金の方が少ないというトラブルが起きました。 ◇ BBCが、シーマ・ミスラさんという女性の実例を取材しています。 それによると、2005年に働き出したミスラさんの郵便局でもこのトラブルが起き、「現金が足りない」と気づいたミスラさんは、自分で不足分を補てんしていたといいます。 ただ、自分の補てんでは補えないほど多額の日もあったあげく、7万4000ポンド、日本円にして約1100万円が不足していたということで停職処分となり、さらに訴追され、有罪判決を受けてしまったのです。 収監された時、ミスラさんは第2子を妊娠中で、地元の新聞が彼女のことを「妊婦泥棒」と書いたため、夫は地元で袋だたきにあったということです。