【業界に激震!】 日産、厳しい状況に陥った背景と未来への道筋 「苦境に必要なのは夢を語ること」
いまだからこそ、もっと夢を語るべき
また、中国市場ではEVやプラグインハイブリッド車に対して、BYDなど中国地場メーカーによる価格競争が激化。日系メーカーの中ではいち早く、中国合弁事業を拡大してきた日産にとって痛手となっている。 中国では中央政府の施策が市場に及ぼす影響が極めて強いため、日産としては今後、一気に業績を挽回することは難しいかもしれない。ただし、中国市場への対応の難しさは、日系に限らず中国における外資系メーカーの共通課題だ。 こうした中、日産は3月に発表したばかりの中期経営計画「ARC」で掲げた達成目標を下方修正するとともに、経営層の大幅な改革も行う。その上で、筆者の私見として、いまの日産に最も必要なことは、「未来に向けた夢を描く」ことだと思う。 内田体制以降、「日産NEXT」で事業を立て直し、2030年に向けた将来ビジョンを公開し、さらに中期事業計画「ARC」へと続いた。直近ではホンダとの協業体制にも及んでいる。 こうした一連の計画は、技術や経営に対する方針に留まっている印象だ。日産はいまだからこそ、日産ブランドとしての「夢」を語るべきだ。 その中には、「GT-R」、「フェアレディZ」、「スカイライン」など、日産の貴重なリソースが次世代日産のイメージリーダーになることもあるだろう。また、新しいライフスタイルついて、多様なパートナーと実現する具体的な未来図の提示もあるはずだ。 日産がいう「ターンアラウンド」は、単なる事業の立て直しではなく、日産のユーザー、社員、新車販売店、サプライヤーが次世代に向かう「夢の架け橋」になることを期待したい。
桃田健史(執筆) AUTOCAR JAPAN(編集)