鹿児島県 県議会一般質問 インバウンド誘致へ商品造成 魅力は5割「自然」、2割「文化交流」 外来種、奄美大島・徳之島で344種
県議会12月定例会は10日、引き続き一般質問(最終)があり、岩重仁子議員=無所属、鹿児島市・鹿児島郡区=、松山さおり議員=自民党、奄美市区=、大久保博文議員=自民党、鹿屋市・垂水市区=、園田豊議員=自民党、南さつま市区=が登壇した。松山議員が質問した奄美大島インバウンド(訪日外国人)誘致事業について英語による解説の付いたツアー商品造成につながり、現在も旅行会社で販売されていることが報告された。 西正智観光・文化スポーツ部長の答弁によると、同事業は奄美大島におけるインバウンドのさらなる誘客を図るため、県が主体となり2023年に観光庁の事業を活用して島内5市町村、観光協会などと連携して実施。大島紬や黒糖焼酎といった奄美ならではの自然や文化等の魅力を体験できるコンテンツ(中身)を含んだ7泊8日のツアー商品造成や販売が行われた。また、商品造成や事業の検証に向けたワークショップの開催、奄美大島の魅力を紹介するPR動画の制作、事業の効果を測定するためのアンケート調査も併せて行われた。 造成されたツアー商品は、「湯湾岳オオタニワタリの沢歩き」「アマミノクロウサギ等の希少動物と出合うナイトツアー」「黒糖焼酎貯蔵蔵でのシマ唄体験」「地域の方々との八月踊り」などを組み入れたもの。同事業は23年度限りだが、造成された旅行商品は現在も販売されているほか、制作されたPR動画は県公式ユーチューブ「南の宝箱鹿児島チャンネル」で配信されており、奄美の認知度向上に活用されている。 魅力度を測定するため、羽田空港で訪日外国人を対象に鹿児島や奄美の認知度やツアー商品に関するアンケート調査が実施された。西部長が答弁した調査結果では、▽「鹿児島や奄美を知らない」=約8割を占め、さらなる認知度向上の必要性確認▽ツアー商品の魅力=約5割が「自然」に、約2割が「文化交流」に魅力を感じた▽金額=5割以上が「ツアー商品に30万円以上の料金で参加してもよい」回答―となった。西部長は「調査結果を関係者と共有したところであり、今後のインバウンド誘客の取り組みに活用する」と述べた。 県内二つの世界自然遺産地域の外来種対策については原口義明・環境林務部長が答弁。それによると、23年3月に改正した鹿児島県外来種リストに掲載されている種のうち、屋久島で生息生育が確認されているのがオキナワキノボリトカゲなど211種、奄美大島及び徳之島ではウシガエルやホテイアオイなど344種となっている。 地域ごとの外来種対策は、▽奄美大島=今年2月に環境省が関係機関と協議して外来植物の対策優先度リストを策定したことから、同リストを参考に瀬戸内町が国の交付金を活用してツユヒヨドリ等の防除、奄美市がボランティアによりオオフサモの駆除実施▽徳之島=昨年5月に侵入が確認された特定外来生物のシロアゴガエルについて国・県・町が連携して定着防止に取り組んでいるほか、地元の団体がアフリカザリガニ等の駆除活動―が説明された。