福島県沿岸の表面水温、50年で2度上昇 大蛇行影響、年変動解析発表
本県沿岸の表面水温が約50年間でおよそ2度上昇したことが、分かった。いわき市で28日に開かれた県漁連組合長会議で、県が明らかにした。県が本県沿岸の海水温の長期変動についてデータを示すのは初めて。 県の調査指導船「いわき丸」による海洋観測で、1970年1月~2023年9月までの間、塩屋埼、富岡、鵜ノ尾埼沖の計21地点の水温を基に、年変動解析を行った。沿岸漁業と沖合漁業を想定して、30カイリ以内と50カイリ以内の2パターンで算出した結果、30カイリ以内では1.96度、50カイリ以内では2.09度上昇した。 同じ観測地点で水深100メートルの水温を解析したところ、長期的な上昇傾向は見られなかった。一方、1991年から30年間の年平均を基準にした場合、直近2年間の表面と水深100メートルの水温は2~7度程度高かった。 県水産海洋研究センターの根本芳春副所長は、日本の太平洋沿岸を流れる黒潮が南に大きく迂回(うかい)する「大蛇行」の影響で「黒潮続流が北上し、暖水が本県海域に流れ込んでいることが要因ではないか」と分析している。
福島民友新聞